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全部、熱のせいだ⑩

 指なんかとは比べ物にならない、質量と熱量。  でも僕はもっと欲しくて、涙を流しながら、まるで子供みたいにせがみ、強請った。  その間、前も擦られ、しごかれ、搾り取られて。  ......もう何も出なくなった後、生まれて初めてドライオーガズムなんていう恥ずかしい事まで経験させられた。  そして完全に腰が砕け、動けなくなった頃。  今度は彼が上になり、めちゃくちゃに犯された。  普通だったら、確実にぶん殴っていたと思う。  でもこの時の僕は、完全に壊れてしまっていて。  ......ただ夢中で、彼の与えてくれる刺激に溺れ、乱れ続けた。  その結果。  汗をたくさんかいたせいか、僕の熱は無事下がった。  ......下がったけれど。  ......前回を越える三発分の精液を中にぶちまけられる、なんていう大惨事に泣く事となる。  マジでいつか絶対殺す、この絶倫クソ野郎! *** 「信じられない。  ......病人相手にあんな事、普通しませんよ」  ベッドに二人、寝転んだ状態で。  腕枕をされて迎えたのは前回同様、甘さも何もない残念過ぎる賢者タイム。 「俺は我慢しろって、言ったよな?  なのにもっとしてくれ、大好き課長って甘えてきたのは、何処の誰だよ?」  タバコに火をつけながら、忌々しげに舌打ちをする課長。  あまりにもムカついたからそれを奪い取り、吸って......そのまま盛大に、むせた。

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