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好きって、言ってよ③
さっきまでの、ウキウキ気分から一転。
忌々しい気持ちで、浴室から出た。
そして彼が用意してくれた、腹立たしいくらいにジャストサイズな肌触りの良いパジャマに身を包み、課長の待つ寝室へ。
僕は気取られぬよう、にっこり穏やかな微笑を浮かべたというのに、この男。
瞬時に僕の苛立ちを感じ取ったのか、少し困惑した様子で聞いた。
「えっと......どうした?久米君。
なにか、気に入らない事でもあったか?」
僕の感情の変化に、気付き過ぎだろ。
......もう絶対コイツ、僕の事が好きじゃん!
しかし、何かがあった訳ではない。
むしろ何もないから、キレているのだ。
でもその言葉を口にする事なく、彼の筋肉質な体をベッドへと押し倒した。
訝しげに寄せられた、眉根。
「別に、何も?」
まだ彼は何か問いたげにしていたけれど無視してそれだけ言うと、僕は笑みを顔面に貼り付けたまま口付けた。
真っ直ぐに僕を見つめる、焦げ茶色の切れ長の瞳。
普段僕から素面の状態でキスをする事はほとんど無いから、メチャクチャ警戒されているのを感じる。
うん、まぁ......企みが無いわけじゃないけどね。
「ねぇ、課長。
目、閉じて?」
常とは異なる、媚びた声で強請る。
すると彼はクスリと笑い、やれやれとでも言いたげに肩を竦め、それから目を閉じた。
その余裕な感じにまた、苛立ちが増していく。
彼のクローゼットから奪ったネクタイを、パジャマのポケットからスルリと取り出し、それを使って彼の視界を奪った。
そして力では絶対に敵わないから、手首を結束バンドでベッドヘッドに繋いでやった。
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