34 / 56
好きって、言ってよ④
「なに、なに、久米君。
今日は、そういう趣向?」
目が見えていなくても、なおも余裕綽々といった感じでクスクスと笑う年上の男。
......マシでコイツ、ムカつくんだけど。
「まぁ、そんなところです。
あまり動かない方が、いいですよ?
......手首、鬱血でもしたら、痕が目立ちますからね。」
僕も笑いながら、彼の唇に指を這わせ、耳元で囁いた。
「えー......、どうしよっかな。
されるがままって、好きじゃねぇんだわ。
それに俺も久米君の事、可愛がってあげたいしねぇ」
楽しげに彼はそう言うと、器用に足を伸ばし、僕の股間を膝で軽く撫でた。
「んっ......!!」
予想外の反撃に、漏れた声。
それを聞き、満足げにニヤリと上がる彼の口角。
コイツ、余裕かまし過ぎ。
......絶対に課長から、強請らせてやる!
こうして僕は、性懲りも無く彼に喧嘩をふっ掛けて。
......この浅はかで考え無しな行動を、死ぬほど後悔する事になる。
***
「可愛がって貰わなくても、結構です。
余計な事を考える余裕が無くなるくらい、気持ちよくしてあげますね」
感じ悪くにやけた唇に、指を突っ込んでやった。
するとその指先を、ねっとりと舌先でなぞられて......そのまま疑似的に、フェラの真似事みたい頭を揺らし、口から抜き差しされた。
舐められているのは指先だけだと言うのに、呼吸が自然と荒くなっていくのを感じる。
視界は塞いだ筈なのに、まるで見えているかのごとく、いやらしく蠢く彼の舌。
イニシアチブを取っていたのは僕な筈なのに、乱されるのは今日も僕ばかり。
......それが悔しいし、ムカつく。
ともだちにシェアしよう!