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好きって、言ってよ⑧
でも僕はこんなにも悔しいって思っている事なんて、彼には見透かされたくなくて。
......表面上だけ余裕の笑みを浮かべ、体を起こした彼にしなだれかかるみたいにして抱き付いた。
「なるほどね......僕はあなたの手のひらの上で、踊らされていただけ、って訳ですか」
「まぁ、そういう事になるかな。
ペットの可愛い子リスちゃんの遊びに付き合ってあげる、優しい飼い主だろ?」
「誰がペットの、子リスちゃんだっ!!
ふざっけんなっ!!」
冷静なふりなんて、課長を前にしたらすぐに吹き飛び、感情が剥き出しになってしまう。
たぶんここまでこの男の計算通りだったのだと気付いても、もう後の祭りだった。
格好悪いくらい激昂し、彼の魔手から逃れようと暴れる僕。
でも課長はそれを易々と押さえつけて僕の腰を支え、繋がったままの状態で一番奥を抉った。
「ふぁ......んんっ!!」
バランスを崩して彼の方へ向かい倒れ込んでしまったため、この男に抱き付くしかない無様な僕。
何か嫌味のひとつでも言ってやろうと思ったのに、キスで言葉すらも奪われた。
抵抗しようとしたけれど、強引に彼の舌先は僕の口内に侵入してきて、そのまま好き勝手に中で暴れた。
やっぱりコイツ、ムカつく。
......でも、気持ちいい。
「さて......どうしよっか?
言う事を聞かない悪いペットの子リスちゃんには、躾とお仕置きが必要だよな?」
完全にまたしても身も心も融かされて、呆けたような状態の僕の耳元で課長は、仕事中とはまるで異なる、艶っぽい声で囁くみたいに聞いた。
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