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好きって、言ってよ⑪

「強情だな、ホント。  ......このままじゃずっと、逝かせて貰えないよ?」  ちゅっ、と頬に口付けられる。  それだけの事で、また僕の体は浅ましく彼を求め、指先を締め付けるのを感じた。 「逝けないのは、お互い様でしょ?  ......僕としたくて、堪らない癖に」  無理矢理口角を上げ、笑う。  それを見て彼は、呆れたように苦笑し答えた。 「うん、したいよ。  久米君と早くもう一度繋がりたいし、一緒に気持ちよくなりたい。  だから久米君、ちゃんと答えて」  そんな風に、言われたら。  ......意地になり、かたくなに彼を拒絶し続ける自分が子供に思え、情けなくなってきてしまった。  だから悔しくて仕方なかったけれど、告げた。 「言ってくれないから、ですよ」  それだけでは僕が言わんとする事が分からなかったのか、彼は不思議そうに首を傾げた。  そりゃそうだ、でも......。  好きって言って欲しいと願うことが、こんなにも恥ずかしいだなんて。  たぶん真っ赤であろう顔を背け、続けた。 「あなたが僕の事、好きだって言ってくれないから」  一瞬驚いたように、瞳をみひらいて。  それから彼はプッと吹き出し、むに、と頬を片手で優しく摘まんで引っ張った。 「なにしゅるんでひゅか......」  頬を摘ままれているため、絶望的なまでに滑舌の低下している僕。  ......クソ、屈辱過ぎる!  それを見て彼はククッと喉を鳴らし、また笑った。 「さて、問題です。  なんで久米君は俺に、好きだっていう言葉を貰えないのでしょうか?」

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