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好きって、言ってよ 22

「いて!!  テメェ......ホント、懲りねぇな」 「懲りるべきは、僕じゃないでしょう?」  フンと鼻を鳴らして笑い、言ってやった。 「んー。俺はさ、久米君。  釣った魚にもちゃんと、餌をやるタイプなんだよね」    彼の発言は無視してのそのそと腕を伸ばして水を手に取り、今度は自力での水分チャージ。  するとボトルのサイドをぐっと掴まれ、軽く押し潰された為、思いっきりむせ返った。 「お前......ホント、大概にしろよ!!」  久しぶりの会瀬な上、気持ちが通じあってから初めて迎えた朝。  なのに僕らの会話には、相変わらず甘さなんて皆無だ。  シュガーレスにも、ほどがある。  まだ起き上がる事は出来なかったけれど、代わりに枕をぶん投げた。  でもそれはあっさり避けられ、僕はそのまま彼の腕の中へ。  彼の大きな手のひらで、優しく頭を撫でられるのは好きだ。  心地よい感覚に身を任せ、しばしその抱擁に酔いしれる。 「......課長ってば、本当に僕の事が好きなんですね」  その言葉を聞き、彼の眉間には深いシワが寄り、唇がへの字に曲げられた。  それを見て、僕はクスクスと笑いながら、課長の額にキスを落とした。                  【......fin?】

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