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7ー2

 学校の昼休み、一度茄治に拉致られた。  俺が他のやつに色目を使ったお仕置きだって言う。  色目を使ってるのは茄治の方だ。俺なんかモテないし、目立たないように眼鏡もしてるのに。  連れてこられたのは、誰も入ってこない部室だって言う。  こんなとこでやるなんて思ってもみなかった。  でも、声を出したらやばい。 「その眼鏡やっぱ似合わないよ」  と言って眼鏡を外してくる。外した顔を見せるのは茄治だけなんだ。 「キレイな顔が台無し」  茄治はきっと俺の外見だけが良かったに違いない。でも俺はそれでも良かった。 「他のやつに見せる必要ないから」  といつも言う。だから俺は眼鏡をしたんだ。目そんなに悪くないのに。 「ああっ。ふっ」  声を我慢しても溢れてしまう。キスで塞がれた口に何かが投げ込まれる。 「これ咥えといて」  茄治の匂いがするネクタイだった。  それだけでもううずいてくる。  俺は茄治の匂いだけで興奮する変態で、学校というシチュエーションにも萌えた。    やった後教室の椅子に座ると違和感があったけど、バレちゃうから我慢した。  いつもより姿勢が正しくなって、変に思われたかもなんて一人気にする。  この時だけは茄治が同じ学校で良かったと心底思った。

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