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8-2
その後夜の回数が減った。俺は別に大丈夫なのに。
「倒れられたりしたら迷惑なんだよ」
と茄治は言う。
また倒れたりして、入院とかになったら大変だから仕方ないとは思う。でもやっぱり寂しかった。馬鹿みたいにバイトを入れた自分のせいなのに。
家を出るまで半年をきって、その間何回できるかを指折り数えた。
そんなことをしていたら、苦しくて、つらくて、茄治に普通の顔ができそうになかった。
「最近控えめじゃない?」
「そんなこと」
「疲れてるんじゃない?」
「そんなことない」
そうじゃないんだ。
「本当に?」
俺は肯いた。
「あんたいつも無理するから」
「無理なんか」
してない。ただ、茄治の切れ長の目も、俺を罵る口も、俺に触れる手も、俺の中に入れるものも、体も、心も全部欲しくてたまらない。
他の誰にも渡したくない。
それが無理なら、せめて抱いて。俺をめちゃくちゃにして。
「もっと、して」
つい口から出た。
「もっといじめて」
そう言ったら、うれしそうに茄治の口元が上がった。
「煽んなよ」
いつもよりもっと強く攻めてくれた。
「兄さんはどうしようもないね」
親にバレるかもしれないのに、電気をつけて、なめまわすように見られた。ちょっとつねられただけで感じる乳首や、熱を放ってる雄や、ぐちょぐちょにかき回された後孔を明かりの下でさらされるんだ。
恥ずかしいのに、それが快感で。
「あぁあっ」
声も出せないのに。
「やらしい顔してさ」
見せるのは茄治だけなんだ。
何度も寸止めされ、後ろだけでいかされ、前で達したときはもう絶叫するくらいやばかった。枕を咥えても聞こえるほど。
「声おさえてって」
唇を塞がれながら思った。茄治の舌も全部俺のものに。
「痛っ」
「ごめん」
つい茄治の舌を噛んでしまって、慌てて口を離した。
「責任取って」
また押し倒された。二度もやってたら、眠れなくなるのに。
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