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16-1
学校帰りに寄り道せず俺の家まで茄治は来た。
「今日はまっすぐ帰ってこいってさ」
「ここにいたらやばいだろ」
「無理。我慢できない」
茄治は高校2年で、やりたい盛りで。
茄治を帰したくない俺は心底いかれてる。
「兄さん」
「兄さんって呼ぶのやめろよ」
「何で?」
「もう、兄さんじゃないから」
「知ってる」
茄治は笑いながら俺の体をこねくりまわしてくる。
「あああっ」
つい声がこぼれてしまう。
「だってそうやって呼ぶの俺だけじゃん」
茄治はそんなことを言って、唇を離さない。舌が絡まって、ちゅぽっていやらしい音を立てた。
「桔梗とか源氏名にするなよ」
「だって他に思いつかな」
話している途中で茄治の手がペニスの先に触れてきた。
「あっ。やっ」
前をしごかれて、口に含んできた。
そんなことしなくていいのに。
「なん、それ。今までしなかったのに」
「兄さんにも気持ち良くなってほしいし」
それはそれでいいんだけどさ。
「意地悪な茄治も好きだし」
「兄さん」
あ、やばい、いくって思ったら途中で止められた。
「そんなこと言われるといじめたくなるんだけど?」
茄治はすごくいい顔で笑った。もうたまらない。
SMプレイとか気になってちょっと調べたんだ。信頼の上で成り立っているって。
茄治は本気で俺の嫌がることまではしないって思うから。
縛るのも好きだと思うんだ。お互い。今日は腕を後ろに縛られた。
優しくいじめられて、すごく甘く感じる。気持ちを聞いてしまったからかもしれない。
でも、その前から本気で嫌だと思ったことなどなかった。
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