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 今日はちょっと無理かもって連絡があって心配になった。  親に何か言われたんじゃないかって。  次の日は学校休みの土曜日で、仕事から帰ったらしれっと茄治がいたから、驚いた。 「風呂沸いてるよ。それとも先飯?」  そんなことを言われるとたまらなくて、思わずキスをしてしまった。 「それ俺ってこと?」  そういう恥ずかしいこと聞かないでほしい。 「風呂はいろ」  と言ってごまかした。 「一緒に?」  聞かないでほしいのに。絶対変な顔してた。 「兄さんからかうと面白い」 「茄治!」  結局一緒に風呂入った。狭い浴槽に2人で入るとお湯があふれ出た。 「昨日どうかした?」  って聞いてみると、一瞬戸惑って答える。 「大丈夫。ちょっとやることあって」  なんか隠してるような気がした。 「本当に?」 「心配した?」  聞き返してくるから、答えられなくなる。  一緒に住んでた時は風呂に一緒に入ったことなんてなかった。そもそも茄治が入ってる時は洗面所にすら近付かなかった。  欲情したらやばいから。  今こうやって一緒に入ってるのはかなりやばい。目のやり場に困る。  まじまじ見られると恥ずかしい。 「何赤くなってんの?」 「一緒に入ったことなかったし」  そしたら思い出したように茄治が言った。 「そういえば兄さん風呂でナニってなかった?」 「は?」 「洗面所結構わかるんだ」  まさかそんな。バレてたなんて。 「まさか俺で抜いてたとは思わなかったけど」  マジで恥ずかしい。 「女でだと思ったから」 「女なんて」  最初から興味ない。 「だって、一目ぼれだったから」 「何それ」 「俺を引き取るの嫌そうだなって何も期待してなかったのに、茄治を見たらそんなことどうでもよくなった」 「兄さん」  茄治の顔がほころんだ。 「俺だってキレイだなとは思ったよ」  いつも茄治はそう言う。 「それまで女とやってもつまんなくて、最初は好奇心だった」  そんなのわかってたけど。 「入れるときの歪んだ顔にそそられたんだよね」  何だよそれ。そう思ってちょっとむくれた。

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