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もやもやとしたものを感じながら茄治がいる風呂に向かった。
「遅いよ」
「あ、ごめん。ちょっと」
茄治に言った方がいいのかちょっと迷った。
「兄さん?」
改めて茄治に聞いた。
「今、高校どんな風?」
「何、突然?」
「ちゃんと授業出てる?」
「出てるよ。めんどくさいけど」
「塾は?」
聞いたらちょっと顔をしかめた。
「何でそんなこと気にするの?」
「サボってたんじゃ」
「兄さんが気にすることじゃ」
「気にするって」
勝手にサボるのはよくない。
「お金かかってるんだろ」
塾だってただじゃない。たとえ俺から得た金を使っていたとしても。
「そんな常識人みたいなこと」
「茄治、今日で泊まるのはおしまい」
「何、何で?」
「高校生だから」
「そればっかり」
茄治は面白くない顔をした。
本当は自分が縛ってるってわかってた。
「そうじゃなかったらもう会わない」
「兄さん!」
茄治は怒ったように言った。
「まさか親に言われた?」
「違う」
確かにそれもあるけど。
「塾って毎日入ってるの?」
「月、水、金、土だけど」
いっぱい入ってるんだな。
「高3からはもっと増える」
「日曜日はないんだ」
ちょっと安心した。
「ん? 何?」
「そん時だけ来ていいからさ」
「兄さん?」
「高校卒業するまで。我慢できるだろ」
会うのがって意味だったのに。
「週1?」
そういう問題じゃなくて。つい赤面する。
「兄さん何考えてんの?」
「うるさい」
「兄さんが我慢できないんじゃないの?」
そんなこと言いながら茄治は迫ってくる。
「茄治!」
通帳のことも一応聞いておかないとと思うのに。
触れられて、抱きしめられて、熱がたまる。
「なんかうれしい」
抱きしめながら耳元で言われるとドキッとする。
「真剣に俺のこと考えてくれるの」
そりゃ当たり前だろ。
キスをしてこねくり回されて、もうやばい。
しばらく茄治と会えないから堪能しないと。
明日は月曜日。また1週間。
さすがに学校だし、夜中中やってるわけにはいかない。
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