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「また来週」  と茄治が言ったのに、寂しくなって、つい口を開いた。 「あのさ、茄治」  ん? って顔をした茄治に言った。 「話したいことがあるんだ」 「え?」 「来週話すから」 「1週間生殺し?」  俺はふふっと笑った。 「ちょっ、マジで今言わないの?」 「だって茄治が帰れなくなりそうだし」 「兄さん!」  すごく不満そうな茄治を無理矢理部屋の外に引っ張った。 「駅まで送ってくからさ」  茄治はまだ不満そうだ。 「歩きながら話せばいいじゃん」  まあ、それでもいいんだけど。 「ちゃんと帰るなら言ってもいいよ」 「何それ」  俺の顔色をうかがうように聞いてくる。 「帰りたくなくなるような話なの?」 「うん。まあ」  茄治はちょっと悩んで、言った。 「やっぱ1週間も我慢できない」  茄治はわがままだなと思いながら言った。 「いい加減兄さんって呼ぶのやめようよ」 「は? それが話なの?」  がっかりしたような茄治を見て笑ってしまった。 「ちょっと兄さん」 「やめる気絶対ないだろ」  茄治は少し怒ったように言った。 「俺が呼びたいんだもん」  ま、いいかと思って笑った。 「高校卒業したら一緒に暮らそう」  茄治は一瞬はっとしたような顔をして、俺の方をじろじろ見てきた。 「それ先に言ってよ」  茄治のあまり人に向けない笑顔も大好きだ。 「そんなこと言って1週間生殺し?」 「だから言ったじゃん」 「兄さんもだんだん意地悪くなってきたね」  なんて言う茄治がかわいい。 「返事は?」 「そんなの言われなくたって元々そのつもりだし」  キスをして、抱き合って、誰かに見られても気にしない。  もう遠慮するのも我慢するのもやめた。茄治が大好きでずっと一緒にいたいから。言いたいこといつでも言えるように。 「また来週」  と俺が言ったら、「今日のお返しに次はもっといじめてあげるから」って返ってきた。  来週が待ち遠しくてたまらない。そんな毎日。

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