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運命なのかは後にして①
暑い____
喉も渇いた____
「ん……」
下半身が熱い。身体の中に何が押し入り、出ていく。入る度に腹が一杯になって、腹の奥を擦っていく。
その感覚が、痛みなのか気持ちいいのか奥が痺れてぞくぞくする。
「ん…そこ…ばっか」
「ここ…いいの?」
「あっ、いやだ……」
…エロいな…先輩____
え? ……えっと?
目覚めたのは、見知らぬ部屋のベットの上だった。昨日の記憶を辿ろうとするが、頭がボーっとして上手くいかない。
ホテルを会社の近くで探して、その前に腹を満たそうと居酒屋へ。いつも間にやら酒が進み、ほろ酔いで店を出たのはなんとか思い出せた。
つーか、ここ何処?
部屋のドアが開いた。見覚えのない男が、上半身裸で下はグレーのスエットというラフタ格好だった。
男の黒い長めの前髪が若干濡れている。タオルで髪の毛を拭きながら、俺に話かけてきた。
「起きましたか? 中條 先輩」
「……だ…れ?」
「やだな俺ですよ」
長めの前髪を上げたら、結構なイケメンで身長も高めだし、こんな奴が知り合いなら覚えてるはずだ。
「え……ごめん。分からない」
「あっ、これならどうです?」
男は、置いてあった黒縁メガネを掛けてこちらを見た。
「あっ!」
後輩の一言も喋らねぇ無口な奴……名前なんだっけ?
「土師 ですよ」
「……そう! それ!で、なんで俺とおまえが一緒にいるんだ?」
「覚えてません?」
ん……
俺は、ベッドで裸の状態。土師は、上半身裸でどう見ても風呂上がりっぽい。俺なんかやらかしたか?
「俺、酔っ払って土師に電話したとか?」
「違いますよ。俺がよく行くBARで貴方がいたんです。恋人に振られて帰る場所がないって」
後輩の前で何ぶっちゃけてるんだよ俺!! 馬鹿か!
「あはは…すまん…覚えてないっつーか」
「……てっきり仲間だと思って」
「はぁ?」
「そのBAR…ゲイBARなんで」
「え? 誰が?」
「先輩の事いいなって思ってたし、そりゃ弱ってたらつけ込むでしょ普通」
「えぇ!? おまえゲイなの?」
「突っ込むところそこっすか?」
土師が「ま、先輩には俺が突っ込みましたが」とかなんとか笑いながら言ったのを 笑えない冗談としてスルーしたが……
「……俺、ゲイじゃねぇけど?」
「そうですか? 素質あると思いますよ。昨日あんなに……」
あられもない情事の記憶が断片的にチラついて、俺は思い出すまいとその記憶を追い払った。
「言わなくていい…あれは酒が入ってだからで」
「ま、どっちでもいいですけど…俺、あんたを落としにいくんで」
「え・・・? はい!?」
そして、七歳したの後輩(男)に ロックオンされた日でもあったっていう前代未聞な話。
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