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運命なのかは後にして⑦

毎日が同じで、特に良くもなく、不可もないそう思っていた。 つい何週間前までは…… 俺は、余計な事を考えないように仕事に没頭した。お陰で毎日が慌ただしく過ぎていった。土師は、相変わらず俺の部下でヘルプに入っいたり、個々の仕事に追われていた。 「土師(はぜ)先輩〜〜中條(なかじょう)先輩〜〜昼休憩、皆んなで行きましょうよ」遠藤がドアから顔だけ出してこちらを見ていた。 「ああ、先行ってて。先輩これ、頼まれていた資料です」 「ありがとう。早く行ってこいよ休憩」 「……先輩は?」 「俺はいい……」 「・・・」 「……ん? 何?」 「いえ、なんでもないです」 俺は、土師が社にいた連中と出ていくのを見送った。土師とああなる前は、会話なんて事務的以外してなかった。その頃に戻ったってけなのに…… なんだこのモヤ~っとする感じ…… 「あっ…やばい午後から得意先行かねぇと!」 俺は、出勤ボードに午後からのスケジュールを書き込んでフロアを出た。 「ありがとうございました。助かりました」 「いえ、また何かあれはご連絡下さい。では、失礼致します」 俺は、担当者に挨拶をしエレベーターへ乗った。上着のポケットでスマホが鳴り、画面を見ると島野(しまの)部長からだった。 「はい、中條(なかじょう)です」 『中條か? そっち終わった?』 「今終わったところです」 『すまないが、ヘルプで行ってくれないか? こっちの連中皆、スケジュールギリギリで皆動けんのよ。頼むわ』 直帰しても特に何もねぇし…… 「分かりました。今から向かいます」 聞いた得意先は、ここからそう遠くはなかった。俺は、取り敢えずタクシーに乗り向かった。 確かこの得意先……土師が担当じゃなかったか? タクシーの外は暗く、いつの間にか白い綿毛みたいな雪が降り出していた。 目的地までタクシーで二十分。俺は、得意先のビルへ入った。担当者に挨拶をし現場へ向かった。 「……先…中條主任?」 やっぱり土師だったか…… 「どうだ?」 土師は、精密機器に繋がったノートパソコンを覗き込んで首を横に振った。俺は、ノートパソコンの文字列をスクロールした。 「ああ……これは厄介かも…一つづつ試してみるか」 「はい」 俺と土師は、地道な作業に取りかかった。その地道な作業を繰り返し、ある結論に至った俺は島野部長に連絡。島野部長の的確な判断で見事に回復し、俺と土師は安堵のため息を吐いた。 「つーか今何時だ?」 「もうすぐ二十二時ですね」 「撤収しよう」 頷いた土師は、撤収作業し俺は会社に連絡を入れた。 「え? うわ…マジか…うん、お疲れ」 「先輩どうしたんですか?」 「社に残ってた連中が大雪の為、電車が止まって帰れないって」 「え……」 「嫌な予感したんだよな…俺らも帰れないかもよ」 ここからタクシーだと自宅まで小一時間かかる…どうしたもんか…… 土師は、得意先に作業終了した報告をし、二人は外へ……あれから降り続いたのか道路と歩道に数センチの雪が積もって足場が悪くなっていた。 「これじゃさすがに電車は無理だな……うぅ寒っ! 腹減ったぁぁ!」 「ですね…取り敢えず…飯にしません? 近くに美味しいラーメン屋があるんで」 「おお、それ乗った!」 土師お勧めのラーメン屋に行き、予想以上に美味かったラーメンを無言で完食した。その間、土師はスマホと睨めっこ状態だった。 「なぁ…おまえさっきから何してんの?」 「この近くのホテル空きがあるか見てるんです。どこも満室で…あっここ空きがあるみたいなんで問い合わせてみます」土師は、店の外へ出て行った。 本当マメだよな……モテそうなのになんで俺なんだろう……いやもうなんとも思ってないんじゃないか…… ズキ……んん?? あぁ?! 「すみません!ビール追加!」 俺は、テーブルに置かれたコップにビールを注いで一気に飲んだ。 「先輩狡い」 「土師も飲めよ。格別うめーぞ」 「親父臭っ……」 「うるせぇな…どうせおっさんですよ…で、どうだったんだよ若造め」 「取れましたよ…ホテル」 「やったじゃん」 俺と土師は、ラーメン屋を出てホテルに向かった。雪で足場の悪い歩道で何度も転げそうになる俺を土師が笑う。 「おまえはなんでなんともないんだ!」 「慣れてるんで…俺…出身、札幌なんです」 「へぇ……いいね雪国か」 「先輩は? 」 「俺? ああ…生まれは横浜だったかな……育ちは東京かな多分……」 「……すみません」 「え? 何が? なんで謝んだよ」 「なんか聞いちゃまずかったのかなって」 「いや、珍しくないだろう……うわぁぁ!」 派手に転びそうになった俺を土師が後ろから抱き止めた。 「危なっ! もしかして酔ってます?」 触れらるのが久しぶり過ぎて…転びそうになって心臓がやたら速いとか、どっちでとうなってるのか分からなくて…… 「そうかもな……」 「……すみません」 慌てて離れた土師は、先を歩き俺もその後を歩いた。寒さで手足の感覚がないのに火照って仕方がないのは酒のせいかそれとも……   ん……いやいや! ないない! 「……何してるんですか?」 「いや…なんでもないって言ってんだろ…寒い! 早くいくぞ!」 「・・・? 待って下さい。そんな急ぐと…また」   「うわぁぁ!!」  その後、俺が何度も転びそうになって土師に笑われたのはいうまでもないが……

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