「先輩……中條先輩…ちゃんと布団に入って下さい」 「……ん、あ……うん」 あれ＿＿＿＿？ 俺…寝てたのか…… 　さっきまで意識していなかったベッドの軋む音や、同じシャンプーの香りと背中に感じる気配で眠気が一瞬で覚めてしまった。 「……先輩、寝ましたか」 「寝てる……」 「起きてるじゃないですか」 「寝てんだよ……」 「俺、ワンチャンいけると思ったんですよ。あの時、先輩と会ったの」 「なんの話だ」 「あのBARに誘ったのは俺の方なんです。最初から貴方がノンケだって分かってた」 「……だからなんなんだよ」 「本当に軽い気持ちだった。一回きりのつもりで」 「それでいいじゃんか…気にしなくて」 「今日…貴方か来てくれるんじゃないかって思って、したらこんな事になって運命だと思いませんか？」 　これってまさか…… 「この状況で運命とか…胡散臭さ満載じゃないか」 「こっち向いて下さい」 「・・・」 　 「先輩……」 　覗き込んできた土師と目があってしまった…… 「そんな顔されたら……勘違いしそうになりますよ？」 俺……今……どんな顔してる？ 「……見んな…んっ！」 開いた口を唇で塞がれ、抵抗するつもりで掴んだ土師の腕にしがみついていた。激しさを増す唇と舌の動きで息が出来ない。 「は…ぜ…んっ苦し……」 「それで抵抗してるつもりですか？　嫌ならもっと抵抗しないと」 「クソ！ 調子乗ってんじゃねぇ！」 　 やっぱこえぇぇぇぇ！！ 　土師に攻撃を試みたがその拳を掴まれた。土師は、俺の手に唇を寄せ指を辿る唇と舌が指先へ…咥えた指先に土師は軽く歯を立てた。 「……いっ」 「……痛い？ それとも感じる？ やっぱり身体は覚えてるんですかね？」 「いい加減放せって！」 「ああ…ここは…覚えてるみたいですけど」 「おい！ どこ…触って！」 　 ああ！ クソ…なんでこんな力強いんだ！