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運命なのかは後にして⑫
「土師……?」土師は、ベッドの端でこちらに背を向け眠っていた。
なんだ寝たのか……
長い夜だった____
土師にいいとは言ったものの、隣て寝ている土師が動く度、気になって結局、朝方まで寝付けずにいた。
いつの間にか眠っていた俺は、寝不足で怠い体を起こした。ソファにいた土師がベッドへ上がってくる。
え?……な…に? なんだ?
土師は、正座をし三つ指をついて深々と頭を下げた。この動作、数秒の出来事である。日本伝統の古典的謝罪法、土下座を披露しているの 土師宇司 だ。
「おまえ…何してんの?」
「……すみません! 俺……雰囲気とエロさと一身上の都合で大興奮してしまいました!」
「それ……謝ってんのかよ」
「はい、だって先輩がエロ過ぎ……痛っ」
俺は、土下座する土師の頭を叩いた。頭を上げたモッサイ前髪が、寝癖で二倍くらい増毛していてそれが可笑しくて…つい、吹き出した。
「何笑ってんすか?」
「……クソ腹立つのに…可愛くてさ」
「はぁ?! 誰が?」
「おまえが可愛いって言ってんの」
顔が赤くなってる土師を見て、俺はまた吹き出した。
「そんな…笑わないで下さいよ!」
「土師」
「……はい?」
「俺は…おまえといると居心地いいのは事実で…何もなかったからって、土師との関係をなかった事にはしたくない。この気持ちが土師と一緒なのかは、正直分からない。けど…土師に触られるの嫌じゃねぇよ…これじゃダメか?」
「……あんな酷い事したのに」
「それは…もういい」
こんなに俺の事を考えて、大事に思ってくれているのが伝わるから…情の一つや二つわいても仕方ないだろう。それが愛情なのは兎も角だが____
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