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運命なのかは後にして⑮
ときめくのは致し方ないとして、複雑なのは土師 に触れる事だ。嫌じゃないと言ったものの、いざそういう雰囲気になると避けてしまうというか、そうならないように茶化してやり過ごしているのが今の現状で、実際のところ最後まで致していないのだ。
キスは…まぁ、お付き合いしてるし…嫌じゃないんだけども! 普通に出来る自分にも驚いたが!
長年、男として生きてきたセクシャリティーを急に変えるとなると、気持ちが追いつかないのだ。だからといって、土師側…所謂 、攻めというポジションになれるかとか…考えてみるまでもなく否だった。土師に対して特別な感情はあってもゲイではないわけで。
土師とはここニヶ月、時間が合えば一緒に晩飯を食べ、週末は土師宅で一緒に過ごす。居心地のいいのは、相変わらずで以前となんら変わりないと思っていた。
数分前まではの話____
「……気立のいい嫁とか理想だな」
「先輩はそうゆー人がいいんだ」
「え……?え……何?」
いつもの週末、土師宅でTVを観ていた俺は、心の声をつい呟いてしまった。
「あっいや、例えばの話で……」
隣に座る土師が、黒縁メガネ越しに俺をじっと見ている。そして大きな溜息を吐いた。
「中條 先…拓巳さん」
「は…い……?」
「俺は……いや、なんでもない…ですよ」立ち上がった土師は、俺の荷物を乱暴に投げた。
「今日は帰って下さい」
「え? なんで?」
「じゃ、なきゃヤるよ……」ニッコリ微笑む土師の目が本気 だった。
「わ…わっ分かった…分かったから」
俺は、逃げるように土師宅から出た。帰る道中、帰宅後もずっと土師の事を考えていた。帰宅後、此処へ引っ越ししてやっと慣れてきたベッドへ身を預けた。
「また、なんかやらかしたんだな俺……」
だからデリカシーがないって言われるんだ。 土師が何に対して腹を立てたのずっと考えてみたが、結局のところ分からなかった____取り敢えず、土師へ謝罪のメッセージを送った。
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