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運命なのかは後にして㉚

 俺は、自宅前でタクシーを降りた。土師(は ぜ)がタクシーから出ようとしたのを止めてドアを閉めた。 「……ありがとう。もう大丈夫だから土師も帰えれよ…お疲れ……」  俺は、少し歩いてよろけた身体を何かに掴まろとしてマンション前の階段で倒れてしまった。 「先輩!」 「……大丈夫だって」 「大丈夫…じゃないだろう」    土師は、俺を担いで自宅の玄関を開けた。泥酔している俺をベッドへ寝かせ離れていく土師の腕を掴んだ。 「……優しくすんなよな」 「優しくして欲しいんですか……?」 「……そうだとしたらどうすんだよ」 土師の顔が近付いてくる。俺は、土師の目を見詰めた。 「抵抗しないんですか?」 「抵…抗する理由がない……」  俺は、土師の眼鏡を取りその手で頬に触れた。土師は、そっと俺の唇に口付けた。 「……それ…だけか」 「…あんたに…もう優しく…しない」 土師は、俺の唇に何度かキスをし俺がぎこちなく口を開け土師を受け入れた。土師の熱い舌先が俺の舌を絡め、互いが激しく唇を重ねた。 土師の息遣いも、鼓動の速さも…今の俺には心地良くて____  土師に触れている身体が熱く、もどかしくて切ない…土師の手が器用に、ワイシャツのボタンを外し直接肌に触れる。土師の手が肌に触れる度、口から吐息が漏れる。土師の唇が首筋へ、そして胸の小さな突起を舌で絡めて軽く吸った。 「……あっ」 小さく()いた俺を、土師の手がスラックス越しに触れゆっくり攻める。半勃ちだったそこは、布越しだとキツいくらいになっていた。俺は、腕を伸ばし土師の内腿から中心へと手を這わせた。スラックス越しでも分かるくらい土師も反応していた。 「……なんも…してないのに勃ってる」 「……当たり前…だ」火照った土師の顔が辛そうに眉を寄せた。 「……もう、キツい」俺の中心に触れる土師の手を掴んだ。 「俺も……」  互い責付くようにベルトを外し前を開いた。俺は、土師に触れ、土師は俺に触れる。 「一緒……触って…っ…先…輩」 「ん…は…ぜ…っもう…で…るっ」 「先輩!」 「ああっ!」 俺の腹の上で熱いものが弾けた。土師の重みが身体に伝わる。俺は、また涙が溢れ目を閉じた。 「土師…意気地がなくて…ご…め…ん……な」 「先…輩……」 互いの荒い吐息の中、俺は意識を飛ばした。

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