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運命なのかは後にして㉛
毎日が同じで、特に良くもなく不可もない。それが不満とも思わない。
変わらない毎日が幸せか、それが退屈だと思うかは人それぞれである。
俺としてはどちらでもないが____
オフィスの窓から暖かい日差しが差し込み、此処から見える春の空がを眺めていた。
いい天気だな……
土師 との関係は、特に変わりはなくあの夜の事を土師は聞いてこなかった。聞かれてもあの日の俺は、普通じゃなかったとしか応えられない。ただ人肌が恋しかった…傍に土師がいたから____
最低じゃねか……しかも全部記憶にあるし…俺の酒癖の悪さは、自覚してるがここまでとは……
「中條! お〜い、な〜か〜じょ〜う」
「……あ、世田先輩…なんですか?」
「なんですか? じゃねぇよ…ボゲェ〜としてんな。ほら、工程表これで進めてOK出たから土師と一緒に進めろよ」
「了解しましたーー」
「なんだその謎のキャラは…って…大丈夫なのか? 顔悪いぞ?」
「そうですか? 気のせいでしょう…先輩心配性だな」
「それならいい…これ宜しくな」
「はぁ〜〜い」
ここのところ眠れていない。父が俺に会いたがってると、由樹之さんから電話があった日から、思い出したくない過去の夢を見るようになったからだ。
「土師、これOK出たからよろ〜〜」
「俺、今忙しいので先輩進めてて下さい」
「……へぇい…分かりました。中條…頑張りまーす。その前に◯ガシャキ…キメてくるわ……」
ああ…眠い……
俺は、喫煙所で電子タバコを点け一口吸った。ゆっくり煙を吐き出して、◯ガシャキを一気に流し込む。
ああ! 効くっ!
喫煙所の扉が開き土師が入ってきて、俺の一つ隣の椅子に座った。
「急ぎの仕事終わったのか?」
「……はい、先輩ってタバコ吸う人なんですね」土師は、持っていた缶コーヒーを開け一口飲んだ。
「……あ、たまにな。昔は超ヘビーだったんだけどな…そうゆーの嫌がる女性…多いじゃん」
「だから、止めてたんですか?」
「まぁ、そんなとこ」俺は、吸った煙をゆっくり吐いた。
「今日…飲みに行きません?」
「え? なんか久しぶりだな…土師から誘ってくるの」
ええ…なんな事件があった後なのに?
「そうですか?」
まぁ、断るのも変だし…あのことが原因でとか言えねし……
「……じゃ行くか…よし! そうと決まれば仕事マッハで終わらせよぜ!」
俺は、◯ガシャキ二本目を飲み干し、土師とフロアへ戻った。
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