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運命なのかは後にして㊵

 結之助が手伝うと言ったが丁重に断った。広めの部屋なのに、長身の男二人がいると狭く感じるのは俺だけか。  フローリングにカーペット、三人がギリギリの四脚テーブルに直座りってなんだか学生の頃を思い出した。 「よし、召し上がれ! 腕白(わんぱく)共!」 「腕白ってなんすかそれ…子供かよ」土師が抜かりなく突っ込んでくる。 「俺からしたら子供なんだよ」 「っていうか、顔に似合わない…地味ですね」土師がテーブルの料理を見渡した。 「……地味悪かったな」 肉じゃが、きんぴらごぼう、豚の生姜焼き、野菜サラダ、豆腐とワカメの味噌汁。日本人ならではじゃねか! 「ギャップモテ料理だよね」 「こら、余計なことゆーな結之助」 「女子ウケいいって言ってたし、急に目覚めたみたいに日本食作り始めた時期があったなって」  俺は、わざとなのか天然なのかよく喋る結之助に炊きたてのご飯を差し出した。 「……母の味? みたいなの食ってみたかったんだよ」 そっか三人共同じだったな…… 「俺は、祖母の味ですね…好きですよ」 「ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと食え!」 いただきますといい二人は食べ始めた。会社の部下と従兄弟が俺の家にいるって今更だかシュールな光景だ。 「地味ですけど…味はいい」土師は無表情で豚の生姜焼きを食べた。 「ってなんだよ」 「二人…仲良いんだな」結之助が笑った。 「この人、酒癖悪くてその仕返し」 「ああ…それは仕方ない。拓巳さんが悪い」   なんだよ…さっきまで人見知り全開だったくせに!  まっ結之助が少しでも元気になれたならいいっか……  俺は、二人の食いっぷりを眺め流石、二十代だななんて歳の差を感じたっていうしがないオッサンの話。

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