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運命なのかは後にして〜最終章〜

 土師(は ぜ)がヘルプで大阪支社に行っていると、島野部長から聞いて二週間が経った。スケジュールボードの土師の欄には大阪支社ヘルプと書かれてあった。だか、いつ戻るとは書かれていない。  俺は、無意識にいない土師のデスクを見ていた。 「中條、相棒がいないと寂しいか?」 神出鬼没の世田(せ た)に驚き椅子から転げ落ちそうになった。 「……世田先輩、驚かさないで下さいよ」 「おまえの気が緩んでるからだろう。土師なら短くて三週間、長くて一ヶ月ってとこじゃないか」世田がA4の用紙の束を俺に差し出した。 「へぇ…そうですか」俺は、それを受け取り確認した。 「じゃ、これ宜しく頼むよ」 「……承知しました」 なんなんだよ…俺に土師の情報をいちいち言ってくるんだ…… 今度は、遠藤(えんどう)が土師先輩から写メ来たといらん報告をしてきた。俺は、自慢げに見せてきた遠藤からスマホを奪い、ヘラヘラ笑う遠藤に抱き付いて写メを撮った。  俺は、それをそっちも楽しそうですねと、メッセージ付きで土師に送った。  その後、遠藤が謎の小さな悲鳴を上げていたのを遠くで聞いた。   ざまぁ……遠藤! 土師め! 上司を差し置いてんじゃねぇわ!  土師から『あれなんすか? 』という若干キレ気味のメッセージが届いた。何に対してキレてんのか意味不明だが『どうだ慣れたもんだろう。だから俺にもメッセージ送れ上司命令な」と返事をした。

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