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運命なのかは後にして〜最終章〜
一頻り泣いた後、俺は外へ出ていた。当てもなく、ひたすら歩いた。だか、頬を伝う涙は一向に止まらなかった。
俺は、あるマンション前まで来て立ち止まった。無性に会いたくなったからだ。ここへ来る間、ずっと一緒にいた日々を思い出していた。傍にい過ぎて分からなかった。
会いたいから来てみたが、そもそも戻ってくるか分からないし、それ以前に俺には何も言わなかった。もう、やつの中で終わったことになっているんだろう。
「何やってんだよ…俺は……」
俺は、マンション前から立ち去ろうとして振り返った。そこに、今一番会いたい人物が立っていた。
黒縁眼鏡、重めの前髪ツーブロックの髪型にスーツといえばこいつしかいない。
土師……
「中條…先輩?」土師 が俺の近くまで歩いてきた。
「……いや、ごめん…なんか会いたくなってさ…土師がいなくなって…いや、なんでもない……ごめん帰るよ」
土師を避け、数歩いったところで土師が俺の名前ん呼んだ。
「……あんたの深く考えないところも、酒癖が悪いし…意外に繊細で傷付きやすくて寂しがり屋で、口悪くて! そんなとこ全部すっん」
俺は、土師に駆け寄り後頭部を引き寄せ唇を重ねた。
「……なんて聞こえない」
「あんたが口塞ぐから……」
「俺がいいたい…好きだ」
土師が俺を強く抱き寄せる。俺は、久しぶりの土師の温もりに目を閉じた。
「俺も…んっ…だから塞ぐと言えない」
「俺がいいたいから…土師が…好き…だから取り溢すなよ」
「はい…先輩……」
俺の口から溢れる言葉を、土師は唇で掬い取っていく。全身から溢れ出て抑えられない。土師は、俺の腕を掴み無言のままエレベーターに乗った。
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