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体育祭編『第23話*』
(し、信じらんない……この変態教師……っ!)
既製品のアクセサリーに飾りを足す……みたいなことは聞いたことがあるけど、アダルトグッズにまでそんな改造を加えている人がいるなんて、前代未聞だ。
日を追うごとに市川の変態っぷりが増しているような気がして、さすがの夏樹もドン引きしてしまう。
「じゃ、このままちょっと部屋を這ってみて」
「え? ……あっ」
いきなり身体を抱え上げられ、四つん這いのまま床に下ろされる。
まさか……と思って肩越しに市川を見上げたら、彼は涼しい顔をしてこう言った。
「ほら、ハイハイしてみろよ。せっかく犬みたいな格好してるんだからさ」
「お、俺は犬なんかじゃありませんっ……!」
「でも、これやらなかったらペットプレイの意味がないだろ? いいからやってみろって」
「っ……!」
さもやるのが当然、といった口ぶりに、さすがにイラッとした。
(いつも自分の思い通りにいくと思うなよ、変態教師!)
せめてもの反抗を見せてやろうと思い、夏樹はなるべく素早く床を這ってバスルームに駆け込んだ。赤い生クリームを身体中に塗られて気持ち悪いというのもあった。
急いでドアを閉めて鍵をかけようとしたのだが、
「なんだ、お風呂でプレイしたかったのか? それならそうと早く言えばよかったのに」
と、強引にドアを開けられてしまい、市川の侵入を許してしまった。
狭いアパートについているようなバスルームだ。もともと逃げ場などない。あっという間に壁際に追い詰められ、夏樹は闇雲に手を振り回した。
「やっ……やだっ! 来ないでください!」
「そう暴れるなって。せっかくくっつけた尻尾がとれちゃうじゃん」
「っ……あっ!」
近くにあったシャワーホースを取られ、軽く両手首に巻き付けられる。そのまま再びシャワーヘッドを元の位置にかけられ、夏樹はほとんど身動きが取れなくなってしまった。
「ちょ……離してくださいよ! こんな……」
「なあ、俺がいろんな道具を作る時、何考えてるか知ってる?」
「知るわけないでしょ! 先生みたいな変態のことなんて……!」
そう怒鳴りつけたら、市川は当たり前のような口調で言った。
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