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体育祭編『第24話*』

「こうしたら夏樹が気持ちよくなるかな~とか、これ使えば夏樹はもっと可愛くなるよな~とか、そういうこと。夏樹のこと考えながら作ってると、つい熱が入っちゃうんだ」 「え……?」 「夏休みに作った浴衣もそうなんだけどさ……覚えてる? 夏樹に似合う柄の布を選んでたら楽しくなっちゃって、つい十着以上も作っちゃったんだよな~。また夏になったら浴衣着てくれよ? 新しい浴衣作ってやるからさ」 「……ありがとうございます」  不覚にもキュンとしてしまい、夏樹はそっと目を伏せた。 (ったく……これじゃあ強いこと言えないじゃないか……)  市川は世界レベルの変態だ。それはどこから判断しても明らかである。  だけどそれと同じくらい……いや、それ以上に夏樹のことも愛してくれる。今もこの通り、夏樹のためにはるばる京都から東京まで来てくれて、あれやこれやと世話を焼いてくれている。  その愛情があるから、どんな変態プレイにつき合わされても最終的には許してしまうのだ……。 「愛してるよ、夏樹。今年は受験もあって大変だろうし、俺もなるべくサポートしてやるからな。やって欲しいことがあったら何でも言えよ?」  と、軽く唇にキスされて、ますます何も言えなくなった。 (ホントにもう……)  ハッキリ言って、自分はまだ市川におんぶに抱っこの状態だ。彼が一緒にいると、とことん甘えてしまって、例えば財布なんかはほとんど出したことがない。  十歳も年が離れているから市川にリードされてしまうのは仕方がないところもあるが、それならせめて、自分も市川のためになるような特技を増やしたいなと思った。  市川が苦手なレシートの計算とか(確定申告に必要らしい)、細かい書類の整理整頓とか、複雑なスケジュールの管理とか。もちろん料理や茶道の勉強もしていきたい。  市川が困っている時に頼られるような存在になる。それが今の夏樹の目標かもしれない。

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