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体育祭編『第40話*』
「ったく……また性懲りもなく夏樹の前に現れるとはね。油断も隙もあったもんじゃないぜ」
そう毒を吐き、市川は夏樹に向き直った。
「夏樹、大丈夫か? 本当に何もされてないか?」
「さ、されてないです……何も……」
「そうか……ならよかったよ」
言うやいなや、市川はひょいと夏樹を横に抱き上げ、早足で廊下を歩き始めた。
「ちょっ……! 先生何するんですか!? 下ろしてくださいよ!」
「いや、無理。あんなこと言われたら、どんな男だって燃えてくる」
「っ……!」
「というわけで、空いてる教室に移動しよう。たっぷり可愛がってやるから」
「えっ!? ダ、ダメですよ! これから騎馬戦出なきゃいけないのに!」
「なーに、ちょっと具合が悪くなったって言ってサボっちゃえば大丈夫だよ。騎馬だって、代理を立てればOKだ」
「OKじゃない! 離せ、この変態教師ぃぃ!」
手足をばたつかせて抵抗したが、力で市川にかなうはずもない。
あれよあれよという間に倉庫のようになっている空き教室に連れて来られ、ピシャリとドアを閉められてしまった。
ここは余った机や椅子、ロッカーが大量に置かれている部屋で、余程のことがない限り、生徒は足を踏み入れない。ましてや外で体育祭が行われている今なら、気付く人は誰もいないだろう。
まったくこの変態教師、そういうところだけは無駄に頭が回る。
「よし、ここなら大丈夫だな。というわけで夏樹、早速ヤろうぜ」
「ヤろうぜじゃないっ! 少しは時と場所を考え……んっ」
そう怒鳴ろうとしたのだが、市川に唇を塞がれてしまったので、それ以上言うことができなかった。
下唇に噛みつかれ、怯んだ隙に舌を入れられ、逃げ回る舌を絡め取られる。濡れた粘膜同士がぴちゃ、と擦れ合い、相手の呼気が直接頬に触れて、反射的に背筋がぞくぞくしてくる。
身体の力も抜け、体温も上がっていく中で、夏樹は徐々に諦めモードに入っていた。
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