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跳び箱編『第9話*』

「いいわけないだろ。いろんな意味でこのまま放っておくわけにはいかない。身体を解すマッサージ、するぞ」 「そ、そんな……あっ……!」  跳び箱の向こうに敷かれていたマットに倒され、両膝を抱え上げられる。膝頭をぐぐっ……と両脇にくっつけるように押し曲げられて、股関節と太股の裏側が悲鳴を上げた。 「いっ、痛い! 先生、痛いって!」 「……やっぱ硬いなあ。これは先が長そうだ」 「先って何……あっ」  膝裏に手を入れられ、脚の付け根から身体をふたつに折り畳まれる。爪先が頭上の床にくっつき、脚の間から市川の顔が見えた。  それはいいのだが……。 (ちょっ、これって……)  自分の股間に市川のものが当たっている。ジャージ越しだけど、彼もそこそこ硬くなっているのがわかる。  どうして市川まで勃起しているのだろう。直接触られるならともかく、普通は男同士で反応なんてしないはずだ。  ということは……。 (この教師、もしかしてゲイ……!?)  そうか、市川はノーマルな人じゃなかったのか。華のない男子校に勤務し、奥さんどころか彼女すらいない生活を送っているのは自分好みの男子生徒を物色するためだったのか。とんでもないヤツに目をつけられてしまった。 (ヤバい、このままじゃ……!)  身の危険を感じ、夏樹は自由な両腕を振り回して叫んだ。 「先生、もうやめてください! これ以上変なことしたら訴えますよ!」 「変なことってなんだよ? お前が跳び箱跳べないままだから、跳べるようにしてやろうとしてるのに」 「だけどこんなやり方で……!」 「一応、教師にもノルマ的なものがあるんだよ。全生徒が最低限到達しなければならないレベルみたいなヤツだ。いくら運動苦手って言っても、高校二年生で跳び箱七段跳べないのはさすがにマズい」 「でも……」 「跳べるようになるまでつき合ってやるから。特別念入りにマッサージしてやるから、な?」 「そっ、そういうことじゃなく……あっ、やめ……!」  跳び箱の訓練だったらもっと別のやり方があるだろう……と言いたかったのだが、ゲイの変態教師には通じなかった。

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