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跳び箱編『第10話*』
勃起している自分を誇示するかのように、平然と己を当ててくる。マッサージがてら硬いものをぐりぐり押しつけてくる。
「あっ……はっ……」
市川のものと自分のものが擦れ合い、ヒクンと身体が震えた。先程直接股関節を揉み解されたせいか、それが呼び水となっておかしな感情がくすぶり始める。お互いのジャージがだんだん邪魔になってくる。
「どうだ? 柔らかくなってきた感じ、しないか?」
「あう……」
柔らかく……はわからないけれど、身体が温まってきたことはわかる。全身の力も次第に抜けてきて、抵抗する気が失せてきた。頭は「ダメだ」と言っているのに、身体が言うことを聞いてくれない。
もっと強い刺激が欲しい。ジャージ越しじゃ足りない。先生の手で直接扱いてイかせて欲しい。トイレの中でやられたみたいに……。
(……って、何考えてるんだ、俺は!)
官能に染まりかけている自分に気付き、夏樹はハッと息を呑んだ。なんとか市川を引き剥がそうと、彼の肩に手を置く。
「ほ、ホントにもういいですっ! 俺、一生スポーツ不得意でいいですから……!」
「なんでだよ? せっかくいい感じに柔らかくなってきたのに」
「柔らかくないです……っ! これ以上やられたらもっと硬くなっ……!」
危うく変なことを口走りそうになり、慌てて唇を噛んだ。
けれど市川はニヤリと笑みをこぼすと、
「ふーん……? 硬く、ね」
ジャージ越しに胸の突起を摘み、軽くひねり上げてきた。
「ひっ……あ!」
「そうそう、大声を出すのも身体の緊張を解くいい方法だぞ? 緊張で身体が強張ってると、せっかくマッサージしても意味ないからな」
「何言ってん……あっ、ひゃあ!」
指の腹でぐりぐり乳首を刺激されてしまう。同時にわざとらしく股間を擦りつけられ、夏樹は無意識に身体を捩った。敏感なところを一緒に攻められたせいで、官能の波も一気に押し寄せて来る。背筋がぞくぞくしてきて、次第に理性も削り取られていく。
「う、んっ……はう……」
「ほら、さっきより柔らかくなってきた。いい感じだぞ……夏樹」
「っ……!」
不意打ちのように名を呼ばれ、不覚にもドキッとした。
横目で市川を見上げたら、端整な顔にうっすらと大人の色気が滲んでいた。それでまたドキドキしてしまった。
(うう……俺、絶対おかしい……っ)
トイレの時もそうだ。こんな恥ずかしいことをされているのにロクな抵抗もできず、乳首や股間を硬く勃起させてしまう。身体が熱くなり、足の奥がだんだんむず痒くなって、無意識に腰を揺らしてしまう。身体の変化がハッキリ自覚できるからこそ、余計に恥ずかしくてたまらなかった。
嫌いな教師に触れられているのに、どうしてこんなに反応してしまうんだろう……。
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