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跳び箱編『第12話*』
「っ……!」
噎せるような匂いが鼻をくすぐる。エロティックな香りが少しずつ理性を削り取っていく。脳が痺れて冷静な判断力がなくなってくる。
美味しそう。食べたい。涎が出そうだ。
思わず口を開きそうになり、最後の理性で踏みとどまる。
だからダメだって。そんなことしたら、俺……。
(でも……)
股間が疼く。窄まりがヒクつく。身体がより強い刺激を欲していることが嫌でもわかる。この状態でストップをかけられるのは、さすがにしんどい。
ここまで来たら最後までやるしかないのではないか。このままずっと拒否し続けても、市川は解放してくれない。拒否すればするほど、夏樹の方が辛くなっていくだけだ。こんな補習、さっさと終わらせてしまいたいし……。
(ああ……もうっ!)
半ばやけっぱちな気分で、夏樹は口を開けた。
途端、間髪を入れず硬い肉棒が口の中にねじ込まれてきた。
「んぐっ! ごほっ、んっ……んん……ぅ!」
市川の鬼頭が喉の奥に当たり、反射的に噎せ返った。口内でそれが一回り大きく膨らみ、誤って歯を立てそうになる。慣れない大口を開けたせいで、口周りの筋肉が引き攣った。
「うう……んっ、んん……」
だが不思議なことに嫌悪感はなかった。官能に昂った身体にとっては、市川のフェロモンは何よりのご馳走だった。
「んっ……ん、ふ……」
自分の意思とは関係なく、勝手に舌が動いてしまう。硬い幹を舐めしゃぶり、先端を舌先でつつき、滲んできた淫液を唾液ごと吸い上げる。
「っ? うっ……!」
不意に先の丸いものを脚の奥に押し付けられ、夏樹はビクン、と身体を震わせた。手で男根を弄られるとばかり思っていたため、予想外の刺激に狼狽えてしまう。
(な、何……? 一体何を……)
直接は見えなかったが、感触からして指ではない。おそらく大人の玩具だと思う。
なんでそんなもの持ってるんだ……と思ったが、ふと彼の足元に用意されていたカゴを思い出した。あの中にはきっと、こういった淫らな道具がたくさん入っていたのだろう。やはり市川は、最初から夏樹をレイプするつもりだったらしい。
トイレでの挑発に乗らずに補習サボればよかった……と後悔したが、こんな状態では抵抗することもできない。
「うーん、やっぱ最初は硬いなあ。これは念入りに解さないとダメみたいだ」
「んんっ……!」
ブツブツ言いながら、玩具を押し付けてくる市川。ぐりぐりとぬめった窄まりに圧力をかけられ、その度に腰が揺れてしまう。
(だめ、中に入っ……!)
異物を拒んでいた秘蕾も外からの刺激には耐えきれず、ついに口を緩ませて先端を呑み込んでしまった。
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