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跳び箱編『第6話*』

「んっ、ふ……んんぅ……っ!」  生理的な涙が溜まっていく。顔も熱く火照ってくる。陰茎が痛いくらい張り詰め、我慢しきれなかった淫液が溢れてきた。 「……お? そろそろか?」  夏樹を追い立てるように、排泄感が高まったモノを更に強く扱かれる。 (だめ、これ以上は……っ)  小刻みに首を振り、涙目で限界を訴える。  すると市川は、ニヤリと笑って先端を爪で抉ってきた。 「っ! んんッ――!」  瞬間、視界が白く弾けた。脳内で火花が散り、びくびくと腰が跳ねる。甘い痺れが一気に爪先まで広がり、毒が回ったみたいに全身が弛緩していく。  ぽた……と何かが床に落ちた音を聞いて、初めて夏樹は自分が昇り詰めたのだと知った。  立っていられなくなり、無意識に市川にすがりつく。 「はあ……はあ……」  なんだ、今のは。ただの手淫なのに凄まじい快感があった。比喩でもなんでもなく本当にめまいがした。普段、自分でする時はこんなに感じないのに……。 「おいおい、大丈夫か? 気持ちよすぎて腰抜けちゃった?」 「ハッ……!?」  その声で我に返り、夏樹は市川を突き飛ばした。何か言ってやりたかったのに、恥ずかしさと悔しさがごちゃ混ぜになって、彼を睨み付けることしかできない。  怒りをどこにぶつければいいかわからず、乱暴に個室のドアを開け、水道で念入りに手を洗った。市川に触られた感触が未だに残っている気がしたが、「気にしたら負けだ」と一生懸命自分に言い聞かせた。  市川が鏡越しに話しかけてくる。 「ところでお前、ちゃんと補習来いよ? サボったら本当に『1』にしちゃうからな」 「……わかってますよ、しつこいですね」 「わかってるならいいけどさ。お前、苦手なものから逃げる傾向があるだろ。そういうの、早めに直しておいた方がいいと思うぞ」  その台詞についカチンときて、夏樹は強い口調で言い返した。 「逃げませんよ! 運動しか能がないくせに、バカにしないでください!」  市川を払い除け、足音も荒くトイレを出る。  まったく、これだから馬鹿丸出しの体育教師は嫌なのだ。腹立たしい。  というか、なんであんなヤツに説教めいたことを言われなきゃならないんだ。自分だって勉強苦手だったんじゃないのか。偉そうに。 (逃げるかよ、絶対……!)  補習をサボったら、それこそ「負け」だ。変態教師にいいようにされるなんて冗談じゃない。あんな筋肉馬鹿に負けてたまるか!  夏樹の頭は、市川への対抗心でいっぱいになっていた。  だから気付けなかった。背後で市川がニヤリとほくそ笑んでいたことに。

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