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性活指導編『第8話*』
学校から車で三〇分ほど行ったところに、市川が一人暮らししているマンションがあった。
夏樹は誘われるまま室内に足を踏み入れ、部屋全体を見回した。一人暮らし用のマンションだからシンプルな間取りだったが、物が少ない分広々として見える。
「……意外と綺麗にしてるんですね。もっと汚いと思ってた」
「最近大掃除したんだよ。いつお前を招待してもいいようにさ」
「ふーん……」
「ところで腹減ってないか? 何かデリバリーでも頼もうか?」
時刻は午後六時を過ぎている。食べ盛りの男子高校生にとってはそろそろ空腹を感じる時間だけど、生憎と今は食事をする気分になれなかった。
「……いらないです。それより……」
市川の手を取り、自分の股間に誘う。
「早くこっちをなんとかしてください。中途半端にやられたせいか、さっきからずっと気持ち悪くて……」
最後までやられなかったのはよかったが、その分大事なところが疼きっぱなしだった。車で移動中も、「どこかで停めて一度抜いてもらいたい」とさえ考えてしまった。
もう我慢できない。自分から市川を誘うなんて恥ずかしいことこの上ないけど、今はそんなプライドより生物的な本能の方が勝っていた。
「……大丈夫か? 本当に怖くないか? 俺の家に来たからって、無理にやる必要はないんだぞ?」
「怖くないですよ。誰だかわからないヤツらに襲われるのは嫌だけど」
言外に「先生なら許します」とほのめかす。
移動中に、だいぶ気持ちは落ち着いて来た。トラウマにならないと言ったら嘘になるけど、長々と引きずるほど夏樹はヤワではないつもりだ。
それよか、あの嫌な思い出を早く市川に消してもらいたい。
「わかったよ。じゃあ今夜はとびっきり優しくしてやるからな」
そう言って市川はひょいと夏樹を抱き上げ、そのままベッドに連れて行ってくれた。丁寧に制服を脱がせ、下着一枚にしてから、これまた丁寧に夏樹を愛撫していく。腫れ物に触るみたいに本当に優しく、ゆっくりとあらゆる箇所にキスを落としていく。
「っ……ん」
あんなことがあった後だから、気を遣っているんだろうか。
でもこんなゆっくりしたペースで進められたら、おそらく二、三時間はベッドから離れられない。母親には予め「先生の家に泊まって勉強してくる」と言ってあるので時間を気にする必要はないが、明日の足腰はちょっと心配だ。
「先生……もう、そういうのいいですから……」
焦らしはいいからさっさとやって欲しい。知らない男に貫かれた感覚を、市川の剛直で忘れさせて欲しい。
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