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夏休み編『第26話*』

「ひぐっ! うっ……っ!」  痛いなんてもんじゃない。下半身からそのまま引き裂かれるような激痛が夏樹を襲う。生理的な涙が溢れ、ボロボロと頬を伝い落ちた。  抱かれたことは何度もあるけれど、こんなに乱暴にされたのは初めてだ。痛くて苦しくて、全身がカタカタ震える。呼吸すら満足にできない。 「やべ、きっつ……。男ってすげー狭いのな」 「っ、っ……!」 「でもなんだこれ……女とは全然違う締め付け感……。やべぇ、クセになりそう」 「うっ! く……!」  ぐちゅり、と更に腰を進められ、食いしばった歯の隙間から呻き声が漏れた。 (でも……)  耐え難い激痛に苛まれながらも、頭の片隅ではどこかホッとしている自分がいた。  ただ痛くて苦しいだけなら、暴力として認識できる。殴られたり蹴られたりするのと同じだと思える。辛いのは変わりないが、下手に快感を覚えるより遥かにマシだった。  俺が心から気持ちよくなれる相手は、市川先生だけなんだから……。 「あー……でもアレだな、こいつチンコ勃たねぇわ」 「えー、マジかよ。お前が下手なだけじゃねーの?」 「前弄ってやりゃ勃つって」 「うっ……!」  萎えている男根をむんずと掴まれ、乱暴に上下に扱かれる。  心は拒否していても生理的な反応は止めることができず、だんだんと硬い芯ができてきた。それに伴い、肌にざわざわした痺れが生まれて来る。 (嫌だ……!)  こんなことで感じたくない。先生以外の人物に触られて反応するなんて、ただ乱暴されるより辛いことだ。  どうしよう。これ以上続けられたら、耐えられる自信がない。  先生お願い、早く助けて……!  その時、車の窓がコンコンと叩かれる音がした。

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