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夏休み編『第28話』

 あっという間に男全員を叩きのめし、市川は開いている車の中に上半身を突っ込んできた。 「ごめんな、夏樹。早く帰ろう」  と、呆けている夏樹を横に抱き上げる。  一瞬、お姫様抱っこの羞恥心が沸いてきたが、すぐにどうでもよくなってきた。大きな安心感とたくましい雰囲気に触れ、張り詰めていた気持ちが緩んできた。 「先生……」  市川の首筋にしがみつき、くすんと鼻を鳴らす。乱暴された恐怖ではなく、市川が迎えに来てくれたことが無性に嬉しかった。  喧嘩しようが逆ギレしようが、この人は夏樹を見捨てない。何があっても最終的には助けに来てくれる。まるで王子様みたいに……。 (ああ、ダメだ……俺、ますます先生のこと好きになっちゃいそう……)  日毎に強くなっていく気持ちに戸惑いつつも、それでもいいと思っている自分がいた。  市川のマンションに帰り付くまで、夏樹は無言で彼に抱きついていた。 ***  マンションに戻り、いつものソファーに座らされた。座った瞬間、後孔がズキンと痛んだ。やはり傷ついているのかもしれない。  市川が心配そうに寄ってくる。 「夏樹、大丈夫か? どこ怪我した? 顔だけじゃないよな? 今から病院行くか?」 「え。いや、病院はちょっと……。大丈夫ですよ、ほっとけば治りますから」 「いや、ダメだ。ちょっと見せてみろ」 「あっ……」  浴衣の裾をまくり上げられ、両脚を開かされる。脚の奥に隠されている秘蕾をつぶさに見つめられ、夏樹はかあっと頬を上気させた。  幾度となく市川と繋がっている場所だが、改めて見られるとやはり恥ずかしい。市川の視線に晒されているだけで、花弁がひくひく収縮してしまう。

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