「じゃ、これからが本番ということで……いいか？」 　こくりと頷いた途端、市川に唇を塞がれた。 　最初は小鳥のようについばまれ、角度を変えながらぺろりと割れ目を舐められる。たまらずうっすら唇を開くと、そこから熱い舌を差し込まれた。 「っ……ん、んっ」 　口内を愛撫してくる舌に応えつつ、たくましい背中に腕を回す。 　ぎゅっ……としがみついたら、口付けがどんどん深くなっていった。つるりとした歯列をなぞられ、舌を絡め取られ、混ざり合った唾液を吸い上げられる。 （ああ、いい……） 　市川先生とだったらキスだけでイけそうだ。濡れた粘膜が心地よく、頬にかかる吐息にすら感じて、全身の血が沸騰してくる。下半身が切なげにキュンキュン疼き、亀頭が浴衣を押し上げているのがよくわかる。 「んっ……うんんっ！」 　反応している中心を浴衣の上から撫でられ、夏樹はくぐもった悲鳴を上げた。 　ただ撫でられただけなのに、掌のぬくもりでますます感じて、先端からわずかに快楽の証をこぼしてしまう。 「……ホントに可愛いな、夏樹は。顔も性格もそれ以外も、全部可愛い……」 「んっ、んっ……」 「『お姫様』なんて言ったらお前は怒るかもしれないけど……俺にとっては大事な大事な『お姫様』だよ」 「っ……」 　誰がお姫様だ、という気持ちもあった。男の俺をお姫様扱いだなんて「ナメてるのか」と怒鳴りたくなる。 　だけど、今はそれ以上に嬉しかった。表現はなんであれ、自分が市川の「特別」であることに誇りを覚えた。 　その想いが更に夏樹を高揚させ、陰部がぴくぴく震え始める。