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夏休み編『第37話*』

「先生……」  とうとう我慢できず、夏樹はねだるように腰を揺らした。 「早く、ください……」 「ん? 指一本じゃ足りないか。じゃあそろそろ二本目を……」 「そうじゃなくて……こっちを……」  思い切って手を伸ばし、市川の欲望に触れる。  市川はちょっと喉を詰まらせながらも、冷静に確認してきた。 「え、もういいのか? もうちょい慣らした方がよくない? お前、今怪我してるし」 「してません。どこも痛くないし……先生は心配しすぎですよ」 「いや、でもさ……」 「そりゃあ、先生に比べれば体力も筋肉もないですけど。だからって、ガラス細工ほど脆くないんですからね。今までだって、ちゃんと先生について行ってたでしょ?」  あえて挑発的に微笑んでみせると、市川は夏樹の手を掴んだ。掌が官能的な汗で濡れていた。 「……ホントにもう挿れていいのか?」 「いいって言ってるでしょ。これ以上焦らしたら、俺から挿れちゃいますよ?」 「ああ……なるほど、じゃあそうしようか」  と、夏樹を抱き起して、市川がソファーに寝そべった。 「それじゃ、自分のタイミングで挿れてみて? 俺は見てるだけにするから」 「は……はい……」  夏樹はドキドキしながら市川に跨った。  この位置からだと、市川の鍛えられた肉体がよく見える。綺麗に割れた腹筋と、程よく筋肉がついた上腕と、たくましい胸板がとても眩しい。 (そういえば、この体位から挿れるのは初めてかも……)  これが噂の騎乗位というやつか。そう考えると妙に興奮する。いつもは市川に組み敷かれるか、膝に座らされて貫かれるかのどっちかだから……。

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