ただでさえ腰が砕けているところにこんな刺激を与えられ、感じすぎて意識が霞んできた。 「ひぃ、あ……もうだめ、イっちゃ……っ！」 「うん……いいぞ、もっともっと感じてくれ。トラウマを残さないように……気絶するくらい気持ちよくしてやるから」 「っ、ああぁっ！　はあぁん！」 　びくん、と一際大きく腰を跳ねさせ、夏樹は溜まっていた熱を噴き上げた。腹の間で白い粘液が飛び散り、勢い余って胸元まで汚れてしまった。 「……いっぱい出したな、夏樹」 「んっ……」 　白濁を纏った指を口元に差し出され、控えめに口を開けてそれをしゃぶる。 　チラッと市川を見上げたら、彼の黒い瞳と目が合った。思わずドキッとした。 （先生……） 　市川慶喜……いや、本当の名前は『真田健介』。 　改名させられたと言っていたけれど、一体何があったんだろう。自ら望んで改名したわけではなさそうだから、きっと並々ならぬ事情があったのだろうが……。 （でも今は……話してくれそうにないな……） 　本当は知りたかった。彼のことを理解するためにも、彼の過去も含めて全部を知っておきたかった。口には出さなくても、市川のこと大好きだから。 　だからこそ、「お前には関係ない」と言われて腹が立った。 　あんたは俺のこと好きじゃないのか、対等な恋人として扱ってくれないのか、俺はそんなに頼りにならないのか……と、怒りを覚えた。 　だけど……相手が話してくれるまで待つことも、大事なことなのかもしれない……。 「んあっ……」 　しゃぶっていた指を引き抜かれ、欲望をも引き抜かれてカーペットに寝転がされる。 「あっ、先生……！」 　戸惑っている間もなく市川に脚を抱え直され、そのまま一気に貫かれた。