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文化祭編『第8話』
午後一時までしっかりクラスの仕事を手伝い、夏樹と翔太は制服に着替えた。
二人で更衣室にいる時、先程の話を詳しく聞いてみたら、やはり翔太は夏樹と市川がつき合ってることに気付いていたみたいだった。
「そりゃあわかるよ。最近二人ともすごく仲良しだし、授業もないのに一緒にいたり、目配せしたりしてるもんね」
「う……それは……」
「あ、責めてるわけじゃないよ? 先生がちゃんと責任取ってくれるなら、男同士でつき合ったって全然イイと思う。僕、そういうのに偏見ないし、誰かにチクるつもりもさらさらないし」
「翔太……」
「というか、なっちゃんも水臭いね~。なんで何にも話してくれなかったのさ? いつノロケ話が聞けるのかなって、楽しみにしてたのに」
「だ、だってそんな……こんなこと、おおっぴらに話せないじゃないか」
翔太はたまたま偏見のない人だったが、他の人もそうとは限らない。「男同士でつき合うなんてキモい!」とか「現役教師と生徒の交際なんてけしからん!」と思う人は、山のようにいる。
急に不安になってきて、夏樹はこっそり翔太に聞いた。
「……あのさ。翔太が気付いたってことは、他の人たちも薄々感付いてるのかな」
「んー……まあ、噂にしてる人はいるかもね。でもなっちゃんがハッキリ認めない限りは大丈夫じゃないかな?」
「……そうか?」
「そうだって。こういうのは決定的な証拠を掴まれない限り、とぼけ続ければなんとかなるもんだし。先生だって、なんだかんだで言い訳上手だから……なっちゃんが気を付ければ多分バレないと思う」
俺が気を付けなきゃいけないのか……と思ったけれど、確かに一番ボロを出しそうなのは自分かもしれない。以後、注意しよう。
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