111 / 282
文化祭編『第17話*』
「お、えっ……うっ……うう……っ」
「そういう返答はお点前ではNGだ。『最悪』なんて言ったら亭主に失礼だろ?」
「うっ、く……うえっ」
「さ、もう一度だ。今度は間違えないようにな。御服加減はいかがですか?」
「うう……」
これは完全に夏樹の分が悪い。
市川はちゃんとした答えが得られるまで問いかけてくるだろうし、間違えたら間違えた分だけお仕置きめいた苦痛を与えてくるはずだ。
今度違う言葉を口にしたら、何をされるかわからない。もしかしたら、お茶の道具を使っていやらしいことをされるかもしれない。
(くそ……っ)
変態教師め、覚えてろよ!
心の中で毒づきながら、夏樹は切れ切れに求められている言葉を呟いた。
「た……大変、結構……で、ございます……」
「よしよし、よく言えたな。偉いぞ、夏樹」
くしゃっ、と髪を撫でられて反射的にドキッとする。
我ながら単純だと思うけど、頭を撫でられるのにはちょっと弱かった。不意打ちのように後頭部をポンポンされたり、髪を掻き上げるように指で梳かれるとついキュンとしてしまう。
「じゃ、そろそろ本番だな。夏樹もコレ、欲しいだろ?」
市川に手を取られ、わざとらしく股間に誘われる。そこは、袴の上からでもハッキリわかるくらい存在を主張しており、いつもより大きめに膨らんでいるようだった。
思わずごくりと喉を鳴らしたら、やんわりと膝から下ろされ、畳に仰向けに寝かされた。
「ちょっと待っててな。今布敷いてやるから」
と言って、市川が袴と着物を脱ぎ捨てる。それを広げて畳に敷き、その上に夏樹を寝かせて来た。
「あっ、ちょっと……。これじゃ着物汚れちゃう……」
「いいって。クリーニングすれば済むんだからさ。畳が汚れるよりいいだろ?」
「それはそうですけど……」
着物の方も、まさかこんな使い方をされるとは思っていないだろう。
ともだちにシェアしよう!