117 / 282

冬休み編『第4話*』

「……何が目的なんですか」  なんとかそれだけ尋ねると、河口はニヤリと笑いながらこう言った。 「別に? 俺も笹野とやりたいだけだ」  次の瞬間、夏樹の唇は河口のそれに塞がれていた。  慌てて首を振って逃れようとしたけれど、両手で顔を押さえられてより深く口づけられる。 「んっ……やめ、せんぱ……」 「いいじゃねぇか。お前、センセとはつき合ってねぇんだろ? つまり、つき合ってもいない相手にやらせてるってことだろ? だったら俺にもやらせろよ」 「そ、れは……んんっ!」  この場合、つき合っていることを認めたところで結果は同じだろう。河口の目的は夏樹を犯すこと。それができれば、口実なんてなんでもいいのだ。  ただその口実は、「市川との関係をバラす」という最悪なものだったが。 「んっ、ふ……あっ」  ようやく唇が離れ、夏樹は肩で大きく息をした。  口元を乱暴に手の甲で拭い、ニヤついている河口を睨み付ける。 「……どうして」 「受験生にはストレスがつきものだろ? 毎日毎日好きでもない勉強を強要されてりゃ、ストレス発散もしたくなるわな」  ……なんて迷惑な理由だろう。そんなの、夏樹には全く関係ないではないか。 「……文化祭をサボって茶室付近にいたのも、真面目にやりたくなかったからですか」 「別に文化祭なんてどうでもいいだろ。遊びみたいなもんだし。俺一人くらいサボったところでたいしたことねぇよ」 「…………」  こういうタイプとは絶対相容れない……。 「あっ……!」  屋上の金網に押し付けられ、夏樹は顔を歪めた。ベルトを緩められた直後、するりとズボンを下ろされ、次いで下着をも下ろされてしまう。  寒空の下で下半身を剥き出しにされ、思わずぶるりと肩を震わせる。寒い。

ともだちにシェアしよう!