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冬休み編『第9話』
長いレイプがやっと終わった頃には、すっかり下半身が冷え切っていた。寒い中、ずっと下を露出していたのだから当然だ。明日には風邪をひいているかもしれない。
(風邪ひいた方がある意味楽かもな……)
河口も、風邪ひいている人相手を犯そうとは思わないだろう。最低人間だけど、あれでも受験生である。
(……あと二、三ヶ月の辛抱か……)
げっそりしながら、夏樹はのろのろと制服を整えた。そして重い荷物を持って下駄箱に向かった。
「おっ、夏樹!」
途中の廊下で明るく声をかけられ、思わず飛び上がりそうになった。今一番会いたくない人に会ってしまった。
「まだ残ってたのか? もうとっくに家に帰ってると思ったよ」
と、市川が近づいてくる。
(先生、来ないで……!)
今彼に触れられたら、平静を保てる自信がない。
夏樹は青ざめながら半歩後ろに下がった。
「……あれ? なんか顔色悪いな。どうしたんだ? 具合でも悪いのか?」
まさか河口に脅されて今まで犯されていたんです……とは言えず、あえて素っ気ない口調で答える。
「別に……先生には関係ないでしょ」
「そんな水臭いこと言うなよ。俺とお前の仲じゃないか」
更に近づき、額に掌を当てようとしてくるので、夏樹は慌てて彼の手を払い除けた。
「触らないでくださいよ!」
「え……」
市川は呆然とした目でこちらを見た。驚きと悲しみが入り混じったような顔をしていた。
ああ、お願いだからそんな顔しないで。先生が悪いわけじゃないんです。ちょっとだけ……三ヶ月だけ我慢したら、俺、すぐに先生のところに帰りますから……。
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