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番外・正月編『第1話*』
遠くから、ボーン……という除夜の鐘が聞こえてきた。
これでもう今年も終わりか……と、夏樹はぼんやりと思った。
全部で一〇八回鳴る除夜の鐘も、全部聞き終わる頃には新年を迎えている。
今年はいろいろなことがあったが、一応これで一区切りだ。新しい年もいい一年になるといいな……と願ってやまない。
「お? 鐘が鳴り始めたな」
こたつに足を突っ込んでいた市川慶喜が、窓の外に目をやった。
(この変態教師と一緒に元旦を迎えることになるなんてなぁ……)
補習授業に呼び出された時には、全く考えもしなかった。最初は体育も市川のことも嫌いだったし、まさかつき合うことになるなんて思ってもみなかった。
それが今じゃ、顔を合わせる度にイチャイチャするバカップルになってしまって……。
「よし! じゃあせっかくだからカウントダウンするか!」
と、市川がこたつから出て、隣に腰を下ろして来た。この状況で彼がやらかすことと言ったら、ひとつしかない。
案の定、市川は夏樹の顎を指先で持ち上げ、自然な動作で唇を塞いできた。唇の割れ目を舌でこじ開けられ、そのまま舌を入れられてしまう。
「んん……っ、ん……ふ」
手を後頭部に添えられ、より深く口内を愛撫される。自分の口の中で好き放題動き回る舌を受け入れながらも、夏樹はせめてもの抗議として市川の肩に手を置いた。
今更抵抗しても意味はないのだが、当然のように受け入れてもらえると思われるのもシャクだった。
内頬をくすぐられ、歯列をなぞられ、舌を絡め取られて引きずり出され、甘い唾液を注ぎ込まれる。頭がボーッとしてきたところで、ようやく唇が離れた。
「どうよ、夏樹? こういう年越しもよくないか?」
「いいわけないでしょ。こんな年越しエロ、変態全開で嫌です」
「相変わらず口は素直じゃないねぇ? そういう子には、ちょっとお仕置きしないとな」
「えっ? 何……あっ!」
いとも簡単に仰向けに転がされ、下着ごとズボンを脱がされてしまう。脱がされた下着を口に詰め込まれ、夏樹は目を見開いた。
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