169 / 282
春休み編『第14話*』
あまり長いものではなかったが、今までしてきたキスの中で一番苦かった。これは多分、抹茶の苦味だけではないような気がする。
「……先生は何もわかってないです」
涙をこらえながら、夏樹は一言一言並べるようにして言った。
「もう別れれば済む問題じゃないんですよ。俺、先生とつき合うことになって初めて男性を知りました。男性に抱かれることがどういうことか、身をもって経験しました。初めてヤられた時はしばらく後ろの違和感に悩まされましたけど、それが消えてなくなると、今度はどうしようもない疼きに苛まれる。また挿れて欲しくてたまらなくなるんです」
「……え? あ、おい!」
市川を押し倒し、その上に馬乗りになる。
もうなりふり構っていられなかった。
和服の前身頃を掻き分け、市川のモノを取り出し、手で芯を作ってやる。
「ちょ、夏樹……よせって……」
「何言ってるんですか。全部先生が教えたことでしょ」
「いや、まあそうなんだけどさ……」
「ここの敷居を跨いだ時点で、俺はとっくに覚悟を決めてるんです。だから先生も、いい加減腹括ってください」
そう言って夏樹は、下着ごと自分のズボンをずり下げ、尻だけ露出させた。
そして挑発するように市川を睨みながら、勃起した男根を掴み、ゆっくりと腰を落としていった。
「はっ、あ……あぁあ……っ!」
何の準備もしていなかったのに、夏樹の後孔はほとんど抵抗なく肉棒を飲み込んだ。数ヶ月間触れられていなかったが、身体はしっかり市川を覚えているようだった。
挿入された途端、内襞が市川のモノに纏わりつき、嬉しそうにきゅうっと収縮する。
「あっ、はぁ……あ、ふ……っ」
「っ……夏樹、やめろって……今こんなことしたら俺も……」
「嫌です……っ!」
市川の制止を無視し、夏樹は彼の腹筋に手をついて自分で腰を動かした。
ともだちにシェアしよう!