172 / 282
春休み編『第17話*』
そのまま間髪入れずに市川が侵入してきて、夏樹は再び甘い嬌声を放った。
「あうぅ……んっ! あっ、あ……あぁん!」
「今更だけど……俺、やっぱりお前が一番好きだ。いつもなら別れた恋人のことは綺麗に忘れられるのに、お前のことだけはどうしても忘れられなかった。あんなに未練タラタラだったのは初めてだぜ」
「はぁ、あ……んっ、く……!」
「しかも『会いたいなあ』と思ってたら、お前の方から訪ねて来てくれるんだもんな。ご丁寧に、泣きながら告白までしてくれてさ……。そこまでされたら、俺もこれ以上逃げるわけにはいかないじゃん」
市川が中途半端にめくった洋服を夏樹の頭から抜き取り、畳にポイッと放り投げた。市川も乱れた和服を脱ぎ捨て、同じく畳に放り投げる。
これでお互い全裸になった。
(……先生、筋トレは欠かしてないんだな……)
そっと市川の腕に手を添える。
体育教師を辞めても、基本となるトレーニングは怠っていないようだった。それは彼の身体つきを見れば明らかだった。
綺麗に割れたシックスパックや程よい上腕の筋肉が、やたらとまぶしく見える。
市川が上体をかがめ、夏樹の前髪を掻き上げた。そして、うっすらと残っている傷跡に軽く唇を触れて来た。
「……ごめんな、夏樹。俺、本当にお前を傷つけてばかりで」
「せんせ……」
「でもお前は、その度に強くたくましく成長していくんだな。正直、ここまでタフなやつだとは思ってなかったよ」
「……む。先生、俺をなんだと思ってるんですか。前にも言ったでしょ。俺は守られるだけのか弱いお姫様じゃないって」
「いや、もちろんその通りさ。でも夏樹、ホントに可愛いから……つい守ってやりたくなるというか」
「……あぁっ!」
突然市川が動き出し、夏樹は喉を反らして喘いだ。しこりになっている部分をゴリッと抉られ、柔らかな襞を余すところなく擦られて、爪の先まで快感に痺れていく。
ともだちにシェアしよう!