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春休み編『第35話*』
「だ、ダメですよ、こんなところで……! 翔太も戻って来ちゃうし……」
「当分戻って来ないだろ。あいつはそういう空気は読める子だ。それにこの車、外からは覗けないようになってるし」
「そういう問題じゃ……」
「そういう問題だよ。夏樹がそんな不安を抱かなくてもいいくらい、たっぷり愛してやるから。しばらく会えなくなるしな」
「で、でも……後始末はどうするんですか……!」
「それも大丈夫だ。これは俺の車だぞ? 必要な道具は全部揃ってる」
……そんないかがわしい車に乗り込んでしまったことが失敗だったかもしれない。
市川は後部座席のシートを倒し、夏樹を仰向けに押し倒した。素早く服を脱がして汚れない場所に放り投げ、自分もさっさと半裸になる。
「本当は昨日の夜に一緒に寝ようと思ってたのに、お前、断っちゃうんだもんなぁ。俺の部屋防音だから気にしなくてよかったのにさ」
「……一緒に寝たら、足腰潰されて帰れなくなっちゃうじゃないですか」
「いいじゃん、帰らなければ」
「そういうわけにはいかないでしょ。だったら先生が東京に戻ってきてくださいよ」
「ごめんな。でも、来年になったら一緒に暮らせるからさ。それまでの辛抱だから、な?」
「……バカ」
唇を重ねながら、お互いの身体を貪り合う。
しばらく会えなくても寂しくならないよう、夏樹もなるべく積極的に市川を誘った。市川の股間に手を伸ばし、膨らみかかっている欲望をそっと包み込んでやる。
いつも市川にされるがままだったので、こうして自分で彼のモノに触るのは初めてかもしれない。
「……夏樹、昨日に引き続き随分積極的だな。そんなに俺とヤりたかったのか?」
「そ……いうこと、言わないでくださいよ……っ!」
「嬉しいんだよ。今までみっちり大人の授業をしてきた甲斐があったな」
「またそういうこと言う……!」
でもその通りかもしれない。市川とつき合わなかったら、こんなテクニックも身につかなかった。よくも悪くも、市川から学んだことはたくさんあるということだ。
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