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春休み編『第36話*』

「あっ……ん!」  つぷん、と指先を後ろに挿し込まれ、反射的に背中が反り返った。  市川にされると、指一本でも感じてしまう。彼が触れたところからむず痒い感覚が沸き起こって来て、もっと強く触って欲しくてたまらなくなる。 (足りない……)  夏樹はもどかしげに腰をくねらせた。  欲しいものは指じゃない。それよりもっと太くて硬い……市川そのもの。それ以外のものでは満足できない。自分はそういう風に開発されてしまった。 「先生……」  そろそろと脚を開きながら、夏樹は握り込んでいた肉棒を軽く扱いた。濡れた目で彼を見上げつつ、なるべく扇情的に囁きかける。 「もう挿れても大丈夫ですよ……? 俺、慣れてますから」 「っ……お前、どこでそんな誘い方学んだんだ? 俺、そんなの教えたっけ?」 「一から十まで全部教わらないと何もできないガキじゃないんです。ある程度まで教われば、自分で学習できますよ。俺はそこまでバカじゃないですから」 「確かにな。そういう賢いところも、すごく好きだ」  そう言われたら、つい胸がキュンとしてしまった。我ながら単純だと思うが、容姿以外を好きだと言われると、どうしようもなく嬉しくなってしまう。  ごまかすように、夏樹は市川の背中に腕を回した。そしてちょっと怒ったように言ってやる。 「もう……っ! 御託はいいから早く挿れてくださいよ……! あまり時間もないんですから……」 「わかったわかった。……ホントに可愛いな、お前は」  市川が昂った切っ先を窄まりに押し当ててくる。少し腰を進められた途端、入口が歓喜したようにべろんとめくれ上がり、そのままずぶずぶと市川を飲み込んでいった。 「あっ、んっ……ああぁ……っ!」  ほとんど抵抗なく根本まで穿たれ、自然と悦びの声が迸る。  お腹いっぱいの市川はちょっと苦しかったけれど、それ以上に快感を強く覚えてしまい、ぞくぞくした痺れが頭のてっぺんまで這い上がってきた。

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