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春休み編『第38話*』

 身体を揺さぶられながらも、夏樹はきっぱりと断った。 「とにかく……! そんな玩具、俺には必要ありませんから……! 絶対受け取りませんからねっ……!」 「……そうか? 夏樹、そういうところは遠慮深いんだよなぁ……」  だから遠慮じゃないです……と、心の中で突っ込む。  すると市川は少し動きを止め、再び収納ボックスに手を伸ばした。今度は粘土のような、スライムのような、何か柔らかそうな物体を手にしている。  そして片手で夏樹の陰茎を掴み、謎の物体を男性器全体に押しつけてきた。ゼリーのように柔らかく、少しひんやりしている。 「ひゃあっ! ちょ、先生……何してるんですか!」 「何って、夏樹の型をとってるのよ。これで夏樹の玩具を作るんだ」 「はああっ!? 冗談でしょ!? そんな羞恥プレイ、やめてくださいよ!」 「いいじゃないか。どうせ俺が手作りするんだから。最近ハンドメイドにハマっててさ、お稽古の合間にこういうの作ってるんだ」 「さ、最低っ!」  ハンドメイドと言えば聞こえはいいが、作っているものに関しては大問題だ。そのうち家の人に見つかって、おまわりさんに通報されてしまうのではないか。 「やっ……だめ、先生……やだぁ……!」 「よし、型取り完了!」  と、市川が素早く物体を取り除き、収納ボックスに入れ直す。一瞬見えた物体には、自分の男性器の形がくっきりと写っていた。顔から火が出そうなほど恥ずかしかった。 「あぁ……もうっ、先生のバカぁ……変態ぃ……!」 「なんで? そんな恥ずかしがることないじゃん。作るのは俺だし、万が一バレても誰のものを作ってたかなんてわからないんだしさ」 「そういう問題じゃありません!」 「こういうことは、かえって堂々としていた方がバレないんだよ。大丈夫だって、誰にも貸し出ししないからさ」 「当たり前でしょっ! そんなことしたら俺、一生先生と口利いてあげませんからっ!」 「おー、怖い怖い。わかってるって、夏樹が困るようなことは絶対しないよ」  ……模型を作ること自体が既にアウトなのだが、この変態教師には何を言っても無駄だと思われる。

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