194 / 282
春休み編『第39話*』
「……はっ、あっ!」
動きを止めていた市川が再び腰を前後させ、夏樹はビクッと肩を震わせた。
(もう、ホントにこの変態教師は……!)
この性癖さえなければ、かなりの好青年なのに。顔も整っているし、性格もさっぱりしているし、運動も料理もお茶もできるのに、本当にもったいないと思う。
ただ、この性癖がなくなったら市川じゃないなとも思える。
きっと自分は、この人の変態っぷりも全部ひっくるめて愛しているのだ。何をされても最終的には許してしまうところが、その証拠かもしれない。
「あっ、あっ……! せんせ、もう……」
「ああ……俺もそろそろイきそうだ。夏樹、こういう時に言うことは……?」
「っ……せんせ、の……いっぱい、ください……!」
刷り込まれた台詞を口にした途端、市川が満足げに微笑んだ。彼は夏樹に覆い被さりながら二、三度大きく腰を動かし、一番奥でその欲望を解き放った。
「ああっ――!」
熱い奔流を腹の中で感じ、夏樹もガクンと身体を大きく跳ねさせた。自分のものが弾け、胸元にまで白濁が飛び散った。
「はあ……あぁ……あ……ん」
力が抜け、しがみついていた手がぱたりとシートに落ちる。
市川は己を引き抜くよりも先に、夏樹に覆い被さってこう囁いた。
「ゴールデンウィークに入ったら、すぐそっちに行くからな。それまでいい子で待っててくれよ?」
髪を掻き上げられ、額に軽く口付けられる。市川に殴られてできた傷も、もうほとんど残っていない。
「……はい、先生」
大丈夫。少しくらい離れていても、この関係は変わらない。ゴールデンウィークまでなんてあっという間だ。クリスマスから春休みまでの三ヶ月と比べれば、どうってことない。
夏樹は市川に抱擁を返しながら、心の中で呟いた。
先生、大好きです……。
ともだちにシェアしよう!