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春休み編『第39話*』

「……はっ、あっ!」  動きを止めていた市川が再び腰を前後させ、夏樹はビクッと肩を震わせた。 (もう、ホントにこの変態教師は……!)  この性癖さえなければ、かなりの好青年なのに。顔も整っているし、性格もさっぱりしているし、運動も料理もお茶もできるのに、本当にもったいないと思う。  ただ、この性癖がなくなったら市川じゃないなとも思える。  きっと自分は、この人の変態っぷりも全部ひっくるめて愛しているのだ。何をされても最終的には許してしまうところが、その証拠かもしれない。 「あっ、あっ……! せんせ、もう……」 「ああ……俺もそろそろイきそうだ。夏樹、こういう時に言うことは……?」 「っ……せんせ、の……いっぱい、ください……!」  刷り込まれた台詞を口にした途端、市川が満足げに微笑んだ。彼は夏樹に覆い被さりながら二、三度大きく腰を動かし、一番奥でその欲望を解き放った。 「ああっ――!」  熱い奔流を腹の中で感じ、夏樹もガクンと身体を大きく跳ねさせた。自分のものが弾け、胸元にまで白濁が飛び散った。 「はあ……あぁ……あ……ん」  力が抜け、しがみついていた手がぱたりとシートに落ちる。  市川は己を引き抜くよりも先に、夏樹に覆い被さってこう囁いた。 「ゴールデンウィークに入ったら、すぐそっちに行くからな。それまでいい子で待っててくれよ?」  髪を掻き上げられ、額に軽く口付けられる。市川に殴られてできた傷も、もうほとんど残っていない。 「……はい、先生」  大丈夫。少しくらい離れていても、この関係は変わらない。ゴールデンウィークまでなんてあっという間だ。クリスマスから春休みまでの三ヶ月と比べれば、どうってことない。  夏樹は市川に抱擁を返しながら、心の中で呟いた。  先生、大好きです……。

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