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第5話

「佐伯、今日良い匂いがするね。」 そう言ってベッドの上で俺を抱えながら鼻を寄せ、俺の匂いを確かめてきた篠宮に、昼間のことを思い出してドキリとする。 結局瀬尾さんとのことは篠宮に話していないままだ。 「発情期が近付いてるのかな。楽しみだね。早く佐伯と番になりたいなぁ…。」 「…そうだね…。」 篠宮と番になってしまったら、もう瀬尾さんにあの時のような昂る感情を抱くことは無くなってしまうのだろうか? そう思うと、とてつもなく寂しくなって、胸に穴が開いたような錯覚がした。 しかしそんな感覚は服の下へと手を伸ばしてきた篠宮によって打ち消される。 「待っ…、篠宮!明日も仕事だから…!」 「Hしたら発情が誘発されるかもしれないでしょ?しよ?」 あくまで誘うような口振りだが、俺が体調不良でもない限り篠宮は止めてくれたことが無い。 それに今日実際に発情というものを経験してしまったから本当に篠宮の言うように発情が誘発されてしまったりなんてことがあるかもしれない。 「やっ…、篠宮…!」 チュッ、チュッと俺の首筋に吸い付いてくる篠宮の唇。反射的にプクリと膨れた乳首を手の片方で摘まれて、手のもう片方は下着の中にある俺のモノを緩く扱く。 「っ本当にだめだって…!篠宮!」 「…どうしたの?今日はいつもと反応が違うね。」 抵抗しようと篠宮の体を離そうとしたところで言われたその言葉にヒュッと喉が鳴った。 「……そんなこと、ない。けど明日ちょっと仕事が忙しくなりそうだから、早く寝たくて…。」 思わず目を逸らしながら言った俺を、篠宮は黙ってただ見つめた後に「そう。」と微笑んだ。 それは、相変わらず、絵画のように美しい笑顔だ。 「それじゃあ無理させちゃいけないかな。今日は。」 篠宮は言うとベッドに横たわって「おいで。」と言って腕を広げた。 篠宮の腕に囲われて寝る。いつもの夜。 「佐伯…。俺の佐伯。」 「……。」 『俺の番』 篠宮の腕の中で、瀬尾さんが言った言葉が脳裏を過ぎった。

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