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第13話
「また無茶をしたね。」
青や紫の内出血が滲む俺の肩に篠宮が湿布を貼る。
結局俺は痛みに音を上げてしまって篠宮が帰ってくる頃にはベッドの脇で体育座りをするように蹲っていた。
「篠宮…。もう俺を自由にさせて…。」
「番になったら、一緒に外に散歩に行こうね。」
「そういうことじゃない…!」
篠宮の腕を外すように肩を振って抵抗を見せると、篠宮の寂しそうな瞳と目が合ってドキリとした。
「…佐伯。俺たちは運命で結ばれてるんだ。」
「っ違う…違う!!俺の運命の番は瀬尾くんなんだ!篠宮じゃない!!」
「それが違うんだよ。だって佐伯は今こうやってここに居る。俺と番になる。それが佐伯と俺の運命なんだ。」
意味が分からない。
頭が混乱する。
篠宮が何を考えているのか、もう分からない。…分かってたことなど、1度も無かったけど…。
「こんなの運命なんかじゃない!作っただけだ!!」
「そう。作ったんだよ。運命を手に入れるために。」
言葉遊びのように、篠宮は俺の本気を躱しては惑わせる。
「っ……。」
もう言葉が出ない。
ボロボロと泣きだした俺の顔を肩口に当てさせて抱きしめると篠宮は優しくキスをしてくる。
「佐伯。これだけは分かって。君は俺の運命の人なんだ。何をしたって手に入れたくなる。それくらいしたくなる人は、佐伯以外に居ないんだ。」
「……。」
なんて迷惑な話だろう。
それくらいしか、頭に浮かばなかった。
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