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第19話

篠宮は俺を家まで送り届けると監視の人に「外に出さないように」というのと何かを小声で伝えてから自分は仕事に戻って行った。 お腹の子の話については特に何もしていない。 きっと帰って来てゆっくり時間が出来たらするのだろう。 しかし…、普段外に居る監視の人が何故か今は部屋に居る。 「…あの、なんで今日は部屋の中に…?」 「どうぞお気になさらないでください。」 篠宮の言い付けらしいことは分かるのだがなんで…。なんとも居心地が悪いので寝室に行くと監視の人は寝室にまでついてきた。 「っなんなんですか!?」 さすがに驚いて思わず聞くがまた「お気になさらず」の一言で終わりにされた。 もうなんなんだ!と浴室に篭ろうとすると「浴室はダメです。」と言われて追い出されてしまった。なんなんだ…、本当に!それならと思ってトイレに逃げ込むとそちらは何も言われなかった。 しかし、トイレじゃとても落ち着ける訳がない。 暫くして落ち込みながら出てくると監視の人と目が合った。 「…気になりますか。」 「当たり前でしょう…。」 問われたことに素直に返事をすると監視の人は少し考えてから浴室からドライヤーやカミソリ、クローゼットからネクタイやベルトを持ち出して「ひとまずはこれで…。20分毎に様子を見に来ますので。」と言って部屋を出て行った。 事実上寝室に閉じ込められた形だが、監視の人が持って行ったものを思い出してある考えが浮かぶ。 「…もしかして篠宮に俺が自殺するのを止めるように言われているのか…?」 それから先程、歩道橋の上に息を切らせて現れた篠宮の姿が浮かんだ。 俺が死ぬかもしれないと思ったから、篠宮は忙しい仕事を抜けてあんなに取り乱した様子で現れたのか…。 「…。」 考えが纏まらないのは、妊娠してホルモンバランスが乱れているからなのだろうか。

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