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No.2
2.
「...そろそろ下ろすよ。」
「ん~。」
まず足から縄を解いていく。
すべて縄を解き終わってもケイの視点はどこを見ているのかわからず、ぼーっとしている。
ぺたんと座り込んでいるケイの隣でカナトが一礼し拍手が飛び交う。
拍手が収まり、観客たちが会話を始め二人の世界の終わりを告げた。
カナトが縄を片付け始めても座り込んでいるケイ。
「ねぇ、あの子大丈夫なの?」
「あー、ケイちゃん?いつものことだから大丈夫だよ。しばらくしたら、ふらっとカウンターに戻ってくると思うよ。」
常連のミナミさんがカウンターで話している。
「こんばんは~、ミナミさん。お連れさんは初めましてですね。このバーのオーナーのカナトです。」
「は、はじめまして!ユズです!」
「こういうお店は初めて?」
「は、はい。初めてです。」
「そんな緊張しないで~。SMバーだけど、いきなり酷いこととかしないからね!同意がある場合はちょっぴりSMちっくなサービスはするけど!」
うんうんうんとユズは頷く。
カナトはミナミへどういう関係?と視線を送る。
気まずく目をそらしたミナミは口を開いた。
「あー、ユズは俺のパートナーなんだけど、お店に、通ってることばれちゃって...。浮気じゃないこと証明しようと思って...連れてきた...的な?」
「あ~なるほど。ユズさん大丈夫ですよ~。ミナミさんはいつもお話したり、ショーを見たりしてるだけでお持ち帰りとかはしてませんよ~。」
ユズはミナミを見つめる。
「本当だって!」
「じゃあ、ミナミさんは僕にこういうことしたいって思ってるの?」
「...ん~、それはそれ、これはこれかなぁ?その気のない人にそういうことする趣味はないからユズにしたいかと言うと正直わかんねぇ。」
「あーそれわかります!」
急にケイが会話に割り込んできた。
「あれ?ケイちゃんもういいの?」
ユズはびくっと反応したが、ミナミはいつものことなので驚くこともなく返した。
「うん、いやー!久々にステージで縛られるの最高に気持ちよかった~!最近若い子にショー任せっきりだったからって、あれ?ご新規さん?キャストのケイです!よろしくお願いします!」
ユズはさっきのステージの人物との印象のギャップに2度見した。
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